守護神・大勢使わず…開幕戦は逆転負け 「我慢」の巨人原監督、開幕黒星スタートの思惑
中田翔が技ありの逆転2点三塁打も…9回に4失点、大勢はコンディション考慮
■中日 6-3 巨人(31日・東京ドーム)
巨人は31日、中日との開幕戦(東京ドーム)で逆転負けを喫した。1点を追う8回に中田翔内野手の内角を流し打つ“技あり”の2点適時三塁打で逆転したが、9回に4点を奪われ、逆転負け。守護神・大勢を起用せずに敗れた。試合後、原辰徳監督は「今日に関してはマウンドに上げる状況ではなかったということですね」と説明した。前日話していた通り、「我慢」のシーズン幕開けとなった。
1点リードの9回。守護神の大勢ではなく、ロペスがマウンドへ上がった。新助っ人が1死二、三塁とピンチを招くと、代わった5番手の高梨が野選と勝ち越しの2点適時二塁打を浴び、この回4失点。中田の逆転打で声出しが解禁された東京ドームは大歓声に包まれたが、落胆の声に変わった。
試合後、原監督は落ち着いた様子で「このような感じで戦っていければ、大丈夫だと思います」と敗れはしたが、下を向くことはなかった。球団史上初、新外国人投手で開幕投手を務めたタイラー・ビーディ投手が6回10安打されるも2失点で試合を作った。「緊張はあったかもしれないが粘り強く投げた」。その後を受けた大江、新人の船迫も好投。「ああいう場面でしっかりと投げられた」と指揮官はそれぞれの投手を評価、及第点を与えた。
開幕前から試練を迎えている。エース・菅野が開幕ローテーションから外れ、主力野手たちもオープン戦ではなかなか状態が上がらなかった。原監督も開幕前日の会見でも、今季のポイントを「我慢しながら戦うことが大事」と明かしていた。この日、大勢がベンチにいれた上でコンディションを考慮し、起用しない選択をした。WBCでフル回転し、そんなに時間は経過していない。1日1日、様子を見ながらの起用になる。先を見据えた判断をした。
ただ、明るみになった課題はそこだけはない。長いシーズンを戦う上で、ロペスが計算できないと、終盤の継投の形は見えてこない。大江、特に初登板で3者連続三振を奪った船迫が一時は逆転となる中田のタイムリーを導いた。だからこそ、その後の構図が見えてこなければシーズンは苦しい。また初回、記録はヒットだったとはいえ、岡林の打球を中堅のブリンソンの判断ミスもあった。前に出てきて、ボールを後逸。一気に三塁進塁を許し、先制点につながった。他にも失策が絡んだ失点もあれば、拙攻もあった。
開幕戦勝利の機運が高まった中での9回4失点で逆転負けに落胆したファンも多いはずだが、新戦力の見極めをしていくのも開幕時にすべきことでもある。課題もあれば、船迫のような収穫もある。いろいろな綻びは見えたのは確かだが、その綻びを繕う作業こそが、チームを強くするために必要なこと。勝つための選択肢を見極めながら、言葉通りの「我慢」の戦いが始まった。