球速130キロで全国制覇「あまり速くないのに」 捕手さえ不思議…山梨学院エースの魅力
球速は130キロ前後でも…“勝てる投手”の素質を備える
直球の球速こそ120キロ~130キロ台前半だが、小さなテークバックから投じるボールで打者を次々と打ち取っていく。バッテリーを組む佐仲大輝捕手(3年)も「捕っててもあまり速く感じなくて、それなのに打者は思ったより詰まるので……。速く見えているのかな」と首をかしげる。今大会注目打者の1人で、準決勝で対戦した広陵(広島)の真鍋慧内野手(3年)も、「内角を狙っていたんですけど、思っていたよりボールがくる感じがあった」と林のボールを振り返っていた。
昨秋の関東大会では背番号10だったが、ひと冬越えて大きく成長した。ウエートや走り込みで下半身を強化。ブルペンで投げ込んだ後は、フォームの映像を見返しながら反省を繰り返した。佐仲も「1人でずっとフォームのことを考えて、夜遅くまで練習していた。一番は制球力が変わりました」と目を見張る。
今大会ではそのコントロールを生かして内角や高めを正確に突き、的を絞らせなかった。絶対的なスピードこそないものの、けん制やフィールディングもうまく“勝てる投手”としての能力の高さを随所に見せた。
吉田監督は、清峰(長崎)の監督時代に指導した今村猛(元広島)と重ね「タイプが違います。今村の力は、そんじょそこらの高校生ではなかった。林は努力を重ねて重ねて今の林がある」と、2009年の大会を制したエースとの違いを語る。「自分で考えてやったほうが成果が出るタイプ。考えすぎることもありますが、自分でちゃんとやれる子です」と目を細めた。夏までにどんな成長見せるのか、今から楽しみだ。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)