ロッテ“未完の大器”に開花の気配 井口資仁氏が分析…4年間で済ませた「自己分析」

野球評論家の井口資仁氏【写真:荒川祐史】
野球評論家の井口資仁氏【写真:荒川祐史】

投手陣が安定するヤクルトの強さ「監督は試合のプランニングがしやすい」

 セ・リーグはやはりヤクルトの強さが際立ちます。9試合を終えて、チーム防御率0.77は驚異的です。その一方でチーム打率は.168と苦しんでいますが、12球団トップの12盗塁を記録。投手陣が盤石なので、機動力を絡めながら獲った1点、2点で勝利を手にしています。打てないながらも勝つ方法を見出せる強さがありますね。

 ヤクルトに続く阪神も投手陣が安定しています。長いシーズンを見据えた時、打線に頼るチームはプランニングが難しい。よく「打線は水もの」と言いますが、「今日の試合は6点取れるだろう」と考えて試合に臨む監督はいません。投手陣が安定している方が、監督も試合のプランニングがしやすくなります。

 ここまでの1週間あまりは、監督・コーチにとっても選手にとっても我慢の時だったと思います。打者は早々にヒットが出ればいいけれど、なかなか1本が出ないこともある。その時は調子が上がってくるまで、ある程度は我慢をしながら起用していかなければならない。これは日本人選手に対しても、外国人選手に対しても同じです。

 先発投手は、ようやく2巡目に入ったところで安定するのはここから。中継ぎ陣に関しては、とりあえず全員を一度は試合で投げさせて、自分の状態をつかんでもらうのが大事。もちろん、開幕ダッシュは決めたいところ。メンバーが揃っているチームは一気にスタートから攻めることができますが、若手が多いチームの場合は実戦の中で色々な起用や作戦を試す必要もあります。首脳陣が予想した通りのスタートとなったのか、予想通りとはいかなかったのか。それぞれチームの評価は分かれることでしょう。

 皆さんも「オールスター時点で勝率5割をキープできていないチームは、優勝争いは難しい」という話を聞いたことがあると思います。これは過去の傾向を探ったデータにも裏打ちされたものですが、オールスター時に5割でいるためにはどうしたらいいか。それはスタートで乗り遅れないよう、大型連敗を絶対にしないことです。序盤に離されてしまうと、チームにも「追いつけないのでは」という雰囲気が漂ってしまいますし、実はこの時期の1敗が、シーズン終盤になって0.5ゲーム差、1ゲーム差という時に響いてくる。なので、まだシーズンは始まったばかりですが、今から5割キープは意識していきたいところでしょう。

 4月中旬から下旬にかけては、選手に疲れも溜まって怪我が増える時期でもあります。選手の入れ替えを余儀なくされながらも、どのチームが5割をキープするのか。あるいは、盤石な体制を保ちつつ、貯金を増やしていくのはどのチームなのか。「5割」をキーワードに見てみると面白いかもしれません。

【動画】「惚れ惚れするスイング」開幕から絶好調のロッテ・藤原が放った今季第1号アーチ

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