東京六大学で異例の“12秒ルール”適用 プロ注目の明大・村田「球種が多過ぎて…」
サイン交換に手間取り時間超過…ボールを宣告された
東京六大学秋季リーグで22日、“12秒ルール”が適用される珍しいシーンがあった。プロも注目する明大・村田賢一投手(4年)は慶大1回戦の7回、1死走者なしで相手の4番・廣瀬隆太内野手(4年)を迎え、カウント1-2から4球目を投じる際、規定の時間内に投球動作を起こさなかったとして「ボール」を宣告され、2-2となった。
試合は両チーム無得点の投手戦。村田としては走者なしとはいえ、一発もある廣瀬に対し慎重にならざるを得ない場面だった。そのためか、サイン交換に時間をかけ「ボール」を宣告された。野球規則では、投手は走者がいない場合、ボールを受け取ってから12秒以内に投球動作を開始しなければならず、違反があった時は「ボール」を宣告されることになっている。東京六大学リーグでは今季開幕前の会議で審判団から各大学へ、「厳密に取ります」と予告があったという。
明大の田中武宏監督は「審判側からは『今までも(12秒を)計っていました』と言われたけれど、僕の記憶にはなかった。選手たちには(開幕前に)『気をつけろ』と伝えましたが、まさか村田が取られるとは思っていなかったので、びっくりしました」と振り返った。
そんな中でも村田自身は冷静で「5、6回サインに首を振ったので、1個2秒としても、妥当かなと思います。球種が多過ぎて、おそらくキャッチャー(小島大河捕手=2年)もサインを忘れている。後で言っておこうと思います」と笑わせ、12秒ルールについては「バッターも間を取りにくくなる。ピッチャーもバッターもどちらも急かされる中で、いかに平常心でやれるか。そういう意味では、公平なルールかなと思います」と語った。
村田は最速147キロのストレートの他、カーブ、スライダー、ツーシーム、カットボール、フォーク、シンカー、チェンジアップと多彩な変化球を駆使する。カウント2-2となった後も、ファウルで粘られたものの、3-2から遊ゴロに仕留めた。
試合は両大学譲らず、0-0で9回引き分け。村田は9回98球1安打7奪三振無失点で完投し、第1週の東大1回戦を含め、今季通算16イニング無失点となった。ちなみに、この日の公式記録で村田の投球数98に、12秒ルールによる「1ボール」の分は含まれていない。「(卒業後は)プロ野球に行きたいなと思います」と明言した右腕が、勝負の1年を最高の形でスタートさせた。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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