イメージは「バスケのシュート」 GG賞4度…坂口智隆さんが実践した“柔らかい送球”

オリックス、ヤクルトなどでプレーした坂口智隆氏【写真:伊藤賢汰】
オリックス、ヤクルトなどでプレーした坂口智隆氏【写真:伊藤賢汰】

元オリの坂口智隆氏が解説…送球の意識は柔らかいワンバウンド

 イメージはバスケのシュート。野球の常識を覆す考え方だった。ゴールデングラブ賞を4度受賞した元オリックスの坂口智隆さんが17日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベントに参加。送球の意識は、一般的な「低く強く」とは違う「弧を描く感覚」だったと明かした。

 外野手の見せ場ともいえるスローイング。「矢のような」と表現されるように、プロ選手も低く強い送球を心掛けていると思っている人は多い。ところが、坂口さんは違った。柔らかい送球を意識していたという。

「ものすごい強肩と言われる選手は低く強い送球で良いと思います。ただ、僕くらいの肩の強さの選手が力いっぱいホームへ送球すると、捕手が構えて捕らなければいけません。しっかり構えて捕球してから走者をタッチしにいく形です。一方で、柔らかいワンバウンドなら、捕手は流れでタッチにいけるのでスムーズな動きになります」

 外野からホームベースまで単に早く到達させるのであれば、低く強い送球の方が良いかもしれない。しかし、送球には捕球する相手がいる。走者をアウトにするには、強さやコントロールなど捕球しやすい送球が求められる。坂口さんは「弧を描くイメージ」で投げていたという。

 きっかけはコーチの一言だった。練習中に山なりで遠投していると、コーチから「ワンバウンドで投げてみろ」と声をかけられた。言われた通りにしてみると、送球の悩みを解決するヒントを得られた。「元々、投げることが不得意でしたが、コントロールが格段によくなりました。バスケのシュートのようなイメージでキャッチボールをすることから始めて、段々とどこでワンバウンドさせると捕りやすい送球になるか感覚をつかんでいきました」。

 山なりの送球は相手まで届かない印象がある。だが、走者を刺そうと送球する際は打球に対して走って捕球しているため、自分が思っている以上に勢いがついているという。坂口さんは「打球にチャージする動きに上半身を合わせられると腕も触れるので、長い距離を投げられるようになります」と話す。走者をアウトにする送球は「低く強く」だけが正解ではない。「柔らかく弧を描く」送球も選択肢となる。

(First-Pitch編集部)

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