三嶋一輝から福敬登へ…ボールに記した「きっと大丈夫」　同じ難病克服へ込めた思い

実際に会って話したことはないが「どういう子かは分かっている」

　福の難病が発覚したころ、同学年の福谷を通じて、初めて連絡が来た。三嶋自身も、かつて同じ病と闘った南昌輝さん（元ロッテ）らから多くの話を聞いただけに、手術のことや術後の経過のことなど、少しでも福の不安を取り除けるようにLINEや電話で様々な会話をした。まだ実際に会って話をしたことはないが、自身より約2か月後に手術した左腕の現状は常に気に掛けている。

「指標になりたいと思っています。たまたま近くに2か月後に手術をした福がいて、もしかしたらこれからこの病気の人がまた出てくるとき、それがいい例でないと、全然違うと思う。痺れが残っていて投げられませんとなるよりも、やっぱり1軍で投げられているという事実が1番勇気を与えると思うし、彼にも何かしら届いていると思う。そういう意味では、より頑張らないとというのはあります」

　4月4日にウエスタン・リーグで実戦復帰した福にとって、きっと三嶋の存在が道しるべとなっているように、三嶋にとっても福は特別な存在だ。「『待ってるよ』っていう言葉は使いません。僕はあまり好きじゃない。福がどういう子かは分かっているし、ちゃんと自分を持っている子なので」。そこに多くの言葉はいらない。ただ自分が1軍でしっかり投げ続けることが、何よりも福を勇気づけることを三嶋は知っている。そしてその先に、マウンドで対面を果たす日がくるだろう。

　病気が発覚するまで、歩くのがつらい中で我慢しながら投げ続けていた日々は想像を絶する過酷さだった。左半身の感覚が薄れ「車から降りるときに左足から降りると捻挫してしまう。ちょっと動いたり、子どもと遊ぶだけ疲れる。呼吸ができなくなったりもしました。症状が出だしてから4、5か月くらい投げていたので、その時は本当にもう、やばかったですよ」。やっと普通に振り返れるようになった。