侍ジャパンがモデル…台湾が描く強化計画 WBC1次R敗退で危機感、1シーズン制実施へ

代表強化に動き出す台湾プロ野球界【写真提供:CPBL】
代表強化に動き出す台湾プロ野球界【写真提供:CPBL】

昨年の台湾U-18代表、高卒捕手が開幕からスタメンマスクで躍動

 4月1日、台中インターコンチネンタル球場で、台湾プロ野球34年目となるシーズンの1軍開幕戦、楽天モンキーズ対中信兄弟が行われた。台湾プロ野球では開幕日は前年の台湾シリーズの対戦カード1試合のみが行われるが、開幕戦としては史上4番目、新型コロナウイルス流行後では最多となる1万8395人のファンを集めた。(情報は4月7日現在)

 開幕投手は中信が2020年、2021年シーズンのMVP、ホセ・デポーラ、楽天が新外国人のブランドン・ワデル。開幕戦で外国人左腕が投げ合うのは初めてだった。試合は3回、中信がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表の江坤宇のタイムリーで先制。しかし楽天は7回1死一、二塁で代打の廖健富が右越え逆転3ランを放った。楽天は8回にもWBC代表林立のソロで1点追加し、8回は陳冠宇、9回はヘーゲンズと、NPB経験がある投手の継投で失点を許さず、開幕戦を4-1でものにした。

 MVPには廖健富が選ばれたが、楽天の曽豪駒監督は廖とともに、この日のスタメンマスク、史上最年少の18歳253日で開幕戦に出場した昨年のドラフト1位、高卒新人の宋嘉翔を絶賛した。宋は4投手をリード、7回には初ヒットもマークした。「不安がないといえば嘘になるが、何より強肩。18歳の割にはキャッチングもいいので、技術面ではそれほど心配はない。これから色んな経験をして台湾代表を目指してほしい」と送り出した古久保健二ヘッドコーチは試合後、「課題もあったけどね」としつつ、最後までホームベースを守り通したルーキーを「99点」と評価した。

 宋嘉翔は、台湾代表が準優勝した昨年のU-18ワールドカップの正捕手。日本戦の初回、黒田義信外野手(九州国際大付高-東日本国際大)が試みた二盗を刺した。開幕5試合中、4試合でスタメンマスクを被り、チームはこの時点で負けなし(4勝1分)。18歳の大物捕手の活躍は、楽天だけでなく台湾球界全体にとっても喜ばしいことだ。

 観客動員は好調だ。台中でワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンドを戦った台湾代表は最下位となったがオランダ、イタリアに勝利。世界の強豪に食らいついた戦いはファンを感動させた。台湾の大手紙『自由時報』のまとめによると、4月5日までの9試合の平均入場者数は1万518人と、昨年同期比で4000人以上増加した。来季は台鋼ホークスが1軍参入。16年ぶりに1軍が6球団体制となるだけに、この盛り上がりを維持していきたいところだ。

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