ファン殺到で「腫れあがっちゃった」 国民的イベントの裏で…日本一逃した“悲劇”

元中日の鈴木孝政氏【写真:山口真司】
元中日の鈴木孝政氏【写真:山口真司】

パレードで握手攻め…利き手の右手を腫らしてしまった投手もいた

 そもそも日本シリーズ前にパレードを行うこと自体、今では考えられない。「俺はオープンカーの左サイドだったから、握手は左手だった。俺の隣は三沢(淳)さんで右手。何十万と握手したか知らないけどさぁ、みんな腫れ上がっちゃった」。三沢氏は日本シリーズで登板したが、万全ではなかった。右手で握手しなかった鈴木氏は比較的、まだまともな方だったということだ。

「第5戦はロッテの先発が木樽(正明)さんだった。俺にとっては木樽さんもスター。(同じ千葉県の)銚子商出身のね。投げ合って俺は7回2失点だったけど、木樽さんは完封だもんね。この試合、日本シリーズ史上初の“両軍無四球”だった。それが見出しになったのは覚えている。1週間で2回先発して、セーブも取った。俺は使ってもらってうれしかったけどね。木樽さんとも投げ合えて良かった」

 いろいろあった、プロ2年目。板東英二氏が歌い、大ヒットした応援歌「燃えよドラゴンズ!」の歌詞に“快速球”で登場もした。20歳の若竜右腕はこの年、間違いなく急成長。翌年以降の飛躍につなげた。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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