大谷翔平は「従来型と違う」 野球経験2年…“異色コーチ”の「研究材料」となるワケ
デンマークで小学生のときに見た「メジャーリーグ」で野球に魅了された
昨季までの3年間をカージナルス傘下マイナーチームの打撃コーチ補佐として過ごした。動作解析を専門とし、選手が不振に陥った際には的確な修正ポイントを示すなど、打者からの信頼を得ている。
サッカーやウインタースポーツが人気を集めるデンマークで、小学生のときにテレビで見た米野球映画『メジャーリーグ』で野球に魅了された。高校を卒業後に渡米を決意。ニュージャージー州の2年制の大学で野球部に籍を置いたが、実力不足で選手の道は断念。しかし、生来の“根拠好き”から来る探究心は膨らみ、動作解析に基づいた打撃フォームを独自に研究した。
2018年にシートン・ホール大学でボランティアの打撃コーチ補佐から指導の道をスタート。翌年、正式に打撃コーチとしての職を得ると、同チームの躍進を支える評判が門戸を広げるカージナルスの打撃コーディネーターの耳に届いた。
「僕の主な仕事は、データを統計学的に分析したセイバーメトリクスからの数値を把握したり、動作解析から分析したアドバイスですが、それらを十分に噛み砕き、シンプルにして分かりやすく伝えるということです。選手が一連の打撃動作を無駄なくスムーズにするお手伝いです」
仲間のコーチたちからの評価は高く、「人の心情に寄り添える伝え方が見事だ」と口をそろえる。映像データと照合しながら各選手の打撃フォームを解析し、理想のスイング軌道を追求する過程での言葉の選び方や表現方法を「常に意識している」と言うニコライセンは「伝えるタイミングが大事」と付け加える。
「積み上げた理論を自分の言葉で分かりやすく正確に選手に伝えられて初めて理論として成立すると考えます。僕が一番大切にするのがそこです。でも、僕の本格的な野球経験は渡米後の2年間ですからね。カージナルスとしてはギャンブルだったと思います(笑)」