ベンチの選手に植え付ける「俺も戦力」 “木内イズム”継いだボーイズ監督の育成術

茨城県稲敷市の中学硬式チーム「江戸崎ボーイズ」【写真:加治屋友輝】
茨城県稲敷市の中学硬式チーム「江戸崎ボーイズ」【写真:加治屋友輝】

強豪「江戸崎ボーイズ」の渋谷泰弘監督は常総学院で主将を務めた

 茨城県稲敷市の中学硬式チーム「江戸崎ボーイズ」は3月の「スターゼンカップ 第53回日本少年野球春季全国大会」でベスト4。4日に閉幕した「メニコン杯 第26回日本少年野球関東ボーイズリーグ大会」でも準決勝に進出した。チームを率いる渋谷泰弘監督は常総学院出身。甲子園で通算40勝をあげた名将・木内幸男監督の薫陶を受けた。指導には“木内イズム”が色濃く反映されており、準備の重要性を選手に説いている。

 渋谷監督は1994年に常総学院に入学。甲子園には出場できなかったが、主将を務めるほど木内さんからの信頼は厚かった。2年時にも主将を任されたことがあったといい「木内さんはそういう野球をやられますので」と振り返る。

 現在、指揮を執る立場になって、志向する野球が恩師とどんどん似てきたことに気付く。「僕なりに考えて指導するのですが、不思議とやることが(木内さんと)似てくるんです。そんなつもりはないんですけど、引き出しを開けるとそこに行きつく。根付いているものがあるんですね」。

 その一つが準備。「準備していない選手がいると試合に出したくなるんです」と笑う。そうした選手を出場させて、失敗することで準備の重要性を認識させるという手法だ。「そうすることで準備の大切さが分かる。常に『出るぞ』『俺も戦力』という意識を持つことで、準備することがうまくなっていくと思うんです」。

 監督から「次、行くぞ。準備しておけ」などという指示は原則、選手には出さない。全員が準備しているという前提で選手交代も行っていく。投手も例外ではない。先発を除く2番手以降の投手に、順番や交代のタイミングなどは基本的には告げないという。「みんな臨戦態勢で準備していますね。練習試合も同じです」と語る。

 全体ミーティングも基本的には実施しない。「気付いた時に、その都度選手には言います。タイムリーに言わないと選手に響かないと感じています」。ベンチの選手にも緊張感を持たせ、戦う集団を作り上げる。準備重視のチーム作りで、進撃を続けている。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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