右腕が“割り箸”の感覚…動かしたら折れそう 自暴自棄の苦悩経て復活期す育成24歳
西武・伊藤翔は一昨年10月にTJ手術…1年のリハビリを経て2軍で奮闘中
西武の育成右腕・伊藤翔投手は今季が入団6年目。高校卒業後独立リーグに進み、1年でプロ入りを果たすと、すぐに1軍マウンドを経験した。しかし一昨年10月に右肘のトミー・ジョン(TJ)手術を経験し、育成選手となった。支配下復帰へ歩む24歳が手術後の苦悩や現状を明かした。
伊藤は千葉・横芝敬愛高3年時の2016年にプロ志望届を提出も、ドラフトでは指名されなかった。複数の大学から誘いがあったが、最短でのプロ入りを目指して独立リーグの四国アイランドリーグplus「徳島インディゴソックス」に入団。そして、2017年ドラフトで西武から3位指名を受け、高校卒業から1年でプロの切符をんだ。
ルーキーイヤーの2018年は16登板で3勝0敗、防御率2.73をマーク。順風のスタートだったが、その後は伸び悩んだ。そして、2軍での調整が続いていた4年目の2021年、試合中に右肘に異変を感じた。
「中学生の時にも肘の手術を経験しているのですが、その時とは違った痛みがありました。『別のところだろうな』と思ったのですが、靭帯を損傷しているとは思いませんでした」。医師から「トミー・ジョンの適用だね」と告げられ腹をくくった。「不安にはなりましたが、痛みがどうやったらなくなるかと考えたら、手術しかないと思いました」。
手術後のリハビリは戸惑いの連続。肘の可動域が全くなかった。自分の腕が割りばしのように感じて、動かしたら折れるんじゃないかと怖くなった。投球を始めてからも痛みが出ることがあり「大丈夫なんですか?」と、自暴自棄になってトレーナーに当たったこともあった。
「わがまま言いましたし、文句のようなことも言ってしまいました。状態が良かったり悪かったり波があって、それがしんどかった。これまでの野球人生で、丸々1年間試合に出なかったことはありませんでした。他の人が野球をしているのに、自分はできない。なかなか状態が良くならなくて、マウンドが遠い。モチベーションを維持するのが難しかったです」