元オリ投手が現地で感じた日米の違い 審判で異なるピッチクロックの“さじ加減”
日米のルールで「もっとも違う」と感じるのがピッチクロック
日本では使われているボールの質がいいため、そういうものをつける選手はいないが、メジャーリーグで使われているボールを実際に触ってみると、日本に比べ滑りやすい印象を受ける。よって公式に使われるロジンバックも日本に比べるとベタベタするため、選手が別に“工夫”するのもわからなくはない。しかし実際にこのルールができたことにより、投球の平均回転数が下がったというデータもある。選手が故意に粘着物質を使わなくなった証拠であろう。
一番ルールとして違うと思ったのが、今年から導入されているピッチクロックだ。投手はランナーなしでは15秒以内、ランナーありで20秒以内に投球しなくてはならない。もし過ぎた場合は1ボールが宣告される。また打者は、残りが8秒になるまでに打撃態勢に入らなくてはならない、もし過ぎた場合は1ストライクが宣告される。
シーズン前のオープン戦のデータで、平均の試合時間が2時間半程度と昨年までの平均約3時間から30分も短くなっている。シーズンに入ってからも、点を両チーム取り合う展開で3時間ほど。また、投手戦になると2時間15分ほど、延長に入った試合でも3時間を切るなど結果は顕著に出ている。
野球というスポーツは米4大スポーツの中で唯一、時間制のスポーツではない。そのため他に比べ試合時間が長い傾向にある。私がプロ野球にいた時、日本でもファン離れを防ぐために試合時間を短縮するにはどうしたらよいか選手会などで議論されていた。ここまでメジャーで成功していることを考えると、日本でも近い将来の導入が予想される。
野球を見ている人の、一番試合で気になる部分が「試合時間の長さ」というアンケート結果も出ているので、これからより野球界を盛り上げる方法としても良いルールになりそうだ。