「トレード志願制度ってあるんですか」 球団首脳にふと質問…超豪華メンバーの“壁”

2004年にFA権取得も行使せず残留「すごいメンバーとやれたことが大きかった」

 とはいえ、代打中心の生活が変わるわけではなかった。「僕は左利きだから、守るなら外野かファーストしかない。外野陣は絶対的だから、ファーストで、と思いましたけど、ここに(球団は)外国人選手を引っ張ってきますからね。鈴木さんには『オープン戦から勝負かけて外国人よりも打ってくれ』って言われましたけど、外国人より打っても開幕は外国人なんです。『結局そうじゃないですかぁ』って愚痴ばかりですよ。まぁ聞いてもらいたいというのもあるんですけどね。今思えば、鈴木さんも答えようがないですよね」。

 浅井氏はプロ1年目にアメリカ留学したが、その時の引率が営業企画課長だった鈴木本部長。「いろいろお世話になって、一緒に生活して、勝手に僕が身近に感じていたのもありますけど、解決しないことも言わせてもらって……。そんなことも言える環境を作ってもらって、僕はその点でも恵まれてましたよね」と感謝しきり。モチベーションをキープして、長く現役生活を続けることができたのは鈴木本部長の存在も大きかったようだ。

 プロ15年目の2004年に浅井氏はFA権を取得した。この時もいろいろ考えたそうだが、結局は行使せずに残留した。「1年違っていたら、とかはありましたね。プロ野球選手の1年って、世の中の4、5年分あると思いますからね」。だが決めたことに悔いはない。「すごいメンバーの中でやれたことが僕にとっては大きかったと思ってますから。すごかったからこそ、頑張れたんですもんね」。カープ一筋でプレーできたことは浅井氏にとって誇りであり、勲章みたいなものだ。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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