35年ぶり「不惑の本塁打王」誕生なるか 中村剛也は何が変わったのか…データで検証

今季は長打力復活に加え、「確実性」も大きく向上

 中村は今季、長打率.558、OPS.958をマーク。いずれもキャリア通算(長打率.511、OPS.851)の値を上回る。2年連続で本塁打王を獲得した2014、15年と遜色のない数字で、今季の充実ぶりがうかがえる。長打率から単打の影響を除外した、真の長打力を示す指標ともいえる「ISO」にも変化が見られる。過去3シーズンはいずれも.150台だったが、今季は.239。30本塁打を放った2019年と同程度の数字になっている。

 出塁率から打率を引いて求める「IsoD」も.081。キャリア平均の.085に近い数字まで向上している。四球を三振で割って求める、打者の選球眼を示す「BB/K」は.652。キャリア平均の.401を大きく上回りキャリアで最高の水準を示している。

 選球眼を支える動体視力は、一般的には加齢とともに落ちていくとされる。だが、中村は選球眼がむしろ向上している。今年の4月29日にNPB史上初の通算2000三振を記録したように、強振する打撃スタイルの持ち主であることを考えれば、今季の確実性の向上は著しいと言える。

 確実性という観点でいえば、打率が.319に達している点も興味深い。これまでシーズン打率.300を記録したことはないだけに、打撃面での顕著な変化の表れと考えられる。それでいて、1本のホームランが出るまでに必要な打席数を示す「AB/HR」は14.13と、37本塁打を放った2015年の14.08に近い水準となっている。確実性が高まりながら長打力も失われていない今季の打撃内容を考えれば、このまま全盛期に近い数字を残す可能性も十分にあるはずだ。

 通算567本塁打で本塁打王3度の門田氏と、通算462本塁打で本塁打王6度の中村。活躍した年代は違うが、いずれも10年以上にわたって和製大砲として圧倒的な活躍を見せてきた。怪我を乗り越えて数多の記録を樹立し、ベテランとなってからも年齢を感じさせない打撃を見せてきたところも2人の共通点といえる。今季はそれに加えて「40代で主要打撃タイトル獲得」という驚異的な記録が、新たな共通点として加わるかもしれない。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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