専門家が“懺悔”「これほど強いとは…」 首位ロッテを支える指揮官の危機管理術

オリ中嶋監督は1軍登板のなかった山下を開幕投手に指名、紅林は2軍スタート

 一方、オリックスの中嶋監督も、専門家をうならせる起用を見せている。昨季まで1軍登板がなかった3年目、20歳の山下舜平大投手を開幕投手に指名し、現在4勝0敗、防御率0.98の快進撃につなげている。

 対照的に、最近2年の活躍で遊撃のレギュラーを固めたかに見えた紅林弘太郎内野手は、オープン戦の不振を見て開幕1軍から外し“お灸”を据えた。開幕スタメンには、育成ドラフト4位ルーキーで、開幕直前に支配下登録を勝ち取ったばかりの茶野篤政外野手、2年目の野口智哉内野手、20歳の来田涼斗外野手の名前が並んだ。茶野はいまやレギュラーで、リーグ8位の打率.277をマークしている。

 野口氏は「中嶋監督は故障者や調整不十分の選手には決して無理をさせず、一方で多くの選手を起用しながら、シーズン後半の勝負どころで使えるのは誰なのかを見極めているのだと思います」と指摘。それでも首位に近いところにいるのは、常に選手とコミュニケーションを取り、状態や力量を把握しているからだろう。

 大黒柱の吉田正尚外野手(現レッドソックス)は抜けたが、西武からFAで獲得した森友哉捕手がチーム最多の25試合で4番を張り、打率.300と21打点はチームトップ。杉本裕太郎外野手も故障による離脱があったにも関わらず、リーグトップタイの9本塁打を量産している。野口氏は「オリックスがFAで選手を獲得するのは比較的珍しいけれど、それだけ森は絶対に必要な選手だと判断したのでしょう。球団による補強も、中嶋監督の戦略も、先の見通しがきいていて計算されていると思います」と評する。

 就任1年目の吉井監督と、昨年日本一に輝いた中嶋監督の知恵比べ。現状はソフトバンクを含めた“3強”の様相で、Bクラスの日本ハム、西武、楽天も、リーグ順位が大きく変動する可能性のある交流戦に意欲を燃やす。パ・リーグはこれからますます熱くなる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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