激戦区・神奈川で準優勝…相洋・高橋伸明監督の原点 今も忘れられない高校時代の“悔い”

休む間もなく…第1シードで臨む夏の神奈川大会

 選手に望むのは、やりきった上での勝負。甲子園がかかった1打席で、「おれはこれだけのことをやってきた」と思えるかどうか。その気持ちは、日々の練習で積み重ねていくことしかできない。

 春季関東大会準々決勝で専大松戸に敗れてから5日後の土曜日。午後7時過ぎに「この時間であれば、練習も終わっているだろう」と高橋監督に電話をすると、「今、遠征から戻って、グラウンドに着いたところで、ちょうどミーティングが始まるところです。すみません、15分後ぐらいに折り返します!」という言葉が返ってきた。

 関東大会が終わったばかりの週末に、すぐに遠征。休む時間もなく、ハードなスケジュールである。心のスタミナは大丈夫だろうか……。

 折り返しの電話で、高橋監督にこの話を振ると、「何を言っているんですか」と言わんばかりのトーンで返された。

「指導者も選手も、こういう戦いを望んでいたんです。選抜に出場していれば、甲子園、県大会、関東大会とずっと公式戦が続くわけです。その中で夏の大会に向けて、さらに気持ちを上げていく。そのステージでチームを作っていかないと、絶対に勝てません。この環境にいることを、選手たちも幸せに思っているはずです」

 関東大会で敗れた瞬間から、夏の神奈川を獲るための戦いは始まっている。6月10日には、第1シード校として抽選会に臨む。

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。

(大利実 / Minoru Ohtoshi)

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。近著に『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)がある。

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