まさかの“腹筋グランドスラム” 「ベテラン顔」の育成出身ルーキーが生きる夏場

オリックス・茶野篤政【写真:小林靖】
オリックス・茶野篤政【写真:小林靖】

茶野がプロ1号満塁弾

■オリックス 9ー2 広島(1日・京セラドーム)

 生真面目なヒットマンが、珍しく打球を上げた。オリックスの茶野篤政外野手は、1日に本拠地で行われた広島戦に「2番・右翼」でスタメン出場し、4点リードの8回2死満塁から、右翼スタンドにプロ初本塁打を描いた。

「思っていたより良い角度に上がったなという感じでした。なかなか普段、ああいう角度は出ないんですけど、良い感じに上がったので(スタンドに)行って欲しいなと思って見ていました」

 切実な願いは打球に届いた。右翼席へ着弾する、グランドスラムにスタジアムは大熱狂。スタンドからグラウンドに“記念球”が跳ね返り「すぐに実家に送ります」と即答。育成出身の新人が、また存在感を発揮している。

 この日は5打数3安打6打点と大暴れ。打率を.279へと上昇させ、安打数51はトップと2本差のリーグ4位。状況次第では、一気にトップへ躍り出る可能性もある。中嶋聡監督も「やりますね。1年目というのは関係なくなってくる。戦力として使っているのでルーキーとも思ってない」と評価。続けて「顔は……ベテラン系なので」と笑いを堪える“ご愛嬌”もみせた。

 そんな“ベテラン顔”茶野の中身はピュアそのもの。「田口コーチから『腹筋やっとけよ』と言われたので、しっかりやっておきました。打撃は、体幹が悪くなってくると崩れると聞いたので、それだけやりました。(回数は)適当に10回とか、少ない数です」。真顔で答え、周囲を半笑いにさせる愛されキャラクターだ。

 田口外野守備・走塁コーチへ腹筋トレーニングについて尋ねると「関係ない、関係ないですよ(笑)」と一蹴。「そんな……腹筋してホームラン打てたら、みんなしますよ!」と大爆笑した。それでも「プロ野球は梅雨の時期に入ってくると体がしんどくなる。だから、ちゃんとメンテナンスをしよう。ルーキーは、この時期に体力が落ちてくるので、蓄えをなくさないようにと伝えましたね」とメッセージを思い出した。

 ジョークで伝えた腹筋の約束も守る“生真面目ルーキー”が、どんどん攻めていく。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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