なぜ阪神は佐々木朗希相手に1安打で勝てたのか? 四球増と付け込んだ“投手心理”
昨季は平均2.5四球だったが、今季は3.5個に急増
まずはチーム全体で奪っている四球だ。昨季はシーズン358個で1試合平均2.5個だった四球が、今季は3.5個(51試合で190個)と急増している。この日も、四球が起点になった。今岡コーチが円陣を組んだ6回、先頭の中野はカウント1-2と追い込まれながらフォークを3球連続で見逃し、四球を選んだ。
「佐々木朗相手にそこまで連打は期待できない。各打者が打ちに行くストライクゾーンを狭め、限定し球種を絞る。追い込まれてからもファウルで粘る意識は見られた。5回までヒットこそ出なかったが、簡単には終わらない姿勢は見せていた」
そして、決勝点が生まれた大山の適時打の場面だ。その前の1死一塁からノイジーに対して佐々木朗が投じたフォークはワンバウンドになり、佐藤都は送球できずに中野が二盗に成功。続く大山の打席でフォークが暴投となり三塁へ進むと、追い込まれながらも甘く入ったフォークを確実に仕留めた。
「投手心理としては『もう同じような暴投はできない』となる。打者からすると真っすぐ待ち。結果はフォークを捉えたが、落ちないフォークは真っすぐと同じ感覚で打つことはできる。四球を生かし、少ないチャンスをものにできている」
結果的にわずか1安打で佐々木朗を攻略した形だが、そこまでの過程はチーム全体に浸透する“岡田イズム”があってこそ。「タイガースのチームカラーらしい試合運びだった」と新井氏。パ首位のロッテに勝ち越し、貯金は再び今季最多の「18」。交流戦に入っても勢いは止まりそうにない。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)