「ここから全盛期が来る」 不本意ながら重ねた経験…淺間大基を強くした“傷跡”
不本意ながら積んだ経験「昔は焦りまくっていて、そうは思えなかった」
それが翌春に腰を痛めると、毎年のように離脱を強いられる怪我に見舞われ、何度も手術を受けた。2019年には急きょ守った三塁で開幕スタメンをつかんだが、右足に打球を当て骨挫傷。翌2020年は左手を骨折した。あまりに過酷な運命を呪ったことはないのだろうか。
「もちろん、なんでだろう……と思いますよ。でも気の持ちようとしては『今日より明日を明るく』と想像するしかないので。これから全盛期が来ると、常に思ってやっています」。そう考えるようになったのも、不本意ながら重ねた“リハビリ経験”ゆえか。
「そうですね……。昔は焦りまくっていて、そうは思えなかったです。他の選手とか、他のチームの同年代が活躍している中でリハビリだけやっていて、こんな感じには思えなかったと思います。今ももちろん、焦りはあるんですけど」
淺間がさっそうとデビューした2015年、あるコーチに言われたことがある。「淺間のことを天才だってみんな言うけど、全然違うよ。努力の人だよ。手を見りゃ分かる」。見せてもらった手には、徹底したバットスイングでできたのだろう。黒ずんだマメの跡がいくつもあった。いくつもの怪我や手術で入った傷も、淺間をきっと強くしているはず。本人の言葉通りの「全盛期」を、楽しみに待ちたい。
○著者プロフィール
羽鳥慶太(はとり・けいた)神奈川で生まれ、愛知、埼玉などで熱心にプロ野球を見て育つ。立大卒業後、書籍編集者を経て2001年、道新スポーツに入社。プロ野球日本ハムを長年担当したのをはじめ、WBCなどの国際大会、アマチュア野球、平昌冬季五輪なども取材する。2021年よりFull-Count編集部所属。
(羽鳥慶太 / Keita Hatori)