五輪除外の野球を救うか…「Baseball5」の世界戦略 “復権”へ高まる期待
WBSCが推進する「Baseball5」…目論む五輪競技採用
男女混合で実施する手打ち野球「Baseball5(ベースボール・ファイブ)」は、2017年に世界野球ソフトボール連盟(WBSC)によってルールが整備されたアーバンスポーツ。ゴムボール1つでできる手軽さも受けて、現在は約80の国と地域で実施されているという。全日本野球協会の山中正竹会長は「五輪競技になれば、という思いがWBSCにあると強く感じています」と語る。
5人で行うBaseball5は、男女どちらかが2人以上出場しなければならない。男女混成のチームスポーツは稀。全日本野球協会の長久保由治事務局長は「男女一緒になって戦うのが魅力の一つ。戦術にも奥深さが生まれます」と説明する。
山中会長は近年の五輪ムーブメントとして「アーバン」「ジェンダーのバランス」「手軽さ」などを挙げ、Baseball5は「それに適したスポーツ」と説明。「Baseball5を盛り立てていこうという流れが(WBSCに)あります。それに応えていきたい」と力を込める。
その一環として、国内での競技普及に着手。2024年2月4日に第1回日本選手権(仮称)を横浜武道館で開催する。2026年の夏季ユース五輪(ダカール)で実施されることが決まっており、全国規模の大会は、ユース五輪で結果を残すための強化策にも直結する。
Baseball5普及の先にWBSCが見据えるのは野球・ソフトボールの“復権”だ。2024年パリ五輪で除外された両競技を今後、復活させるための糸口にしたいとの狙いもあるようだ。実際、Baseball5は“野球不毛の地”とされる欧州やアフリカで広まっている。
「野球やソフトボールは引き続き五輪のコア競技に入っていけるように努力しています。(Baseball5が)大きな力になります。そうした動きを日本でつくりたい」と山中会長は力を込める。ストリート競技のBaseball5が野球・ソフトの発展へ、大きな力になるかもしれない。
(片倉尚文 / Naofumi Katakura)
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