防御率1点台&パ最多タイ6勝の下手投げ右腕を“攻略” DeNA打線が意識した「あえて」
ノーゲームで記録残らずも…鈴木に対して2回61球を投げさせ6安打3得点
DeNAは15日、横浜スタジアムでの日本ハム戦が、降雨のため2回裏終了後ノーゲームとなった。相手先発の鈴木健矢投手に対して、初回打者9人の猛攻で3点を奪うなど、2回61球を投げさせ6安打。ここまでパ・リーグ最多タイ6勝を挙げている下手投げ右腕を打ち崩した。その裏には石井琢朗チーフ打撃コーチが経験をもとに立てた“戦略”があった。
鈴木はここまで15試合登板(9先発)で防御率1.55。計52回1/3を投げて、打たれた本塁打は1本のみだ。4年目右腕とDeNA打線は、昨年の交流戦で1イニング当たっただけで、そのときは牧と大和が凡退、宮崎は四球だった。現在セ・リーグにアンダースローの投手はいないこともあり、ほぼ“初見”といえる状態だった。
石井コーチは「いつも初見の投手に対しては、受けることなく積極的にいこうという話をしてますが、今日に限っては積極的にという話はしていません。あえてです」と話す。打たせて取るタイプの投手に対して「打たされるな、と」とポイントを挙げた。
初回、先頭の関根が3-1からの5球目を二塁内野安打として出塁。神里が死球で一、二塁となると、佐野は中飛。4番の牧が5球目の直球を左中間スタンドに運んで3点を先制した。さらに宮崎、楠本、森が3連打で満塁。山本と東が倒れたものの、打線はつながった。2回にも2死一、二塁と好機をつくった。
「鈴木くんはああいう投手にしては珍しく、フライボールピッチャー。あえてフライを打ちに行く。ただ今日の結果は打者みんなの技術です。いくら指示しても、技術が高くないとできないですから」
石井コーチは2012年から17年まで広島の打撃コーチを務めていたが、このとき元ヤクルトの下手投げ・山中とよく対戦していた。「あのときと同じ感じです。俺が打っていたわけではないですけど、ある程度攻略してきた自負みたいなものがあるので」とニヤリと笑った。記録には残らないが、12球団トップのチーム打率.261を誇る強打が光った。
(町田利衣 / Rie Machida)