中学野球に必要な「成功体験」 勝利よりも大事なこと…ベテラン監督が描く“育成プラン”

播磨ボーイズ・中上晴彦監督【写真:橋本健吾】
播磨ボーイズ・中上晴彦監督【写真:橋本健吾】

タイムリーを打てば「練習の何倍もの成功体験を得る」

 兵庫の中学硬式野球「播磨ボーイズ」を率いる中上晴彦監督は、過去に高砂南と姫路工で計12年間コーチを務めた経歴を持つ。高校野球での指導経験を生かし「中学生には成功体験が一番。勝ちにこだわるのは高校に入ってからでいい」と、“打ち勝つ野球”を信条に指導を続けている。

 中上監督が大切にしているのは「中学生でどれだけ成功を得られるか」だという。日々の練習の成果を発揮する試合では、犠打や盗塁を使って得点圏に走者を進めることはあるが、スクイズのサインは出さないという。打順に関係なく、確実に1点が欲しい場面でも選手を信じて積極的にスイングさせていく。

「高校の監督は勝たせてあげたらいい。でも、私は打たせてあげたい。タイムリーを打てば、練習の何倍もの成功体験を得る。たとえ打てなくても、次にどうするかを考える。だからウチのチームはいっぱい勝ってるし、いっぱい負けている」

 スクイズしないのは“成功体験”を得るためだけではない。高校ではコーチや監督が有望中学生のスカウト活動も行う。その多くが大会や練習試合だ。高校でコーチを務めていた中上監督は自らの経験を踏まえ「余程の選手じゃない限り何度も見に行けない。1度しかない時もある」と指摘する。

中学指導者の“役目”は「高校で活躍できる選手育成」

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