「キツネにつままれたような」ドラ2指名 悩んだ末の決め手は…兄からの“独り立ち”
後を追っていた兄との話し合いの末にプロ入りを決断
だからこそ、迷った。両親に相談した。「親が何か決め手になるようなことを言ってくれるだろうとの期待の中で話をしたんですけど『自分の人生なのだから、自分で決めなさい。その決断にきっと間違いはないと思う』と言われたんです」。もちろん、忠之さんにも相談にのってもらったが、なかなか結論を出せなかった。「本当に悩みました。しばらくそういう時間が続きました。もし、親がこうしなさいって言っていたら、そうしていたでしょうね。まだまだ子どもでしたから」。
最終的にはプロを選んだが、これにはこんな思いがあった。「僕はずっと兄貴の後を追いかけてきたので、ここでそれに決別しようと思ったんです。兄貴とも話をしていくうちに、思い切ってプロの世界に飛び込もうってなりました。そういう流れでした」。兄からの“卒業”。それを決意できたことで前に進んだ。そして近鉄に「お世話になります」と返事したのだ。
「ホントに分岐点でした。社会人はあまり考えませんでしたが、もし、プリンスホテルに行っていたら、後に一緒にプレーすることになる石毛(宏典)さん(プリンスホテル→西武→ダイエー)と、その時点でも、ご縁があったわけですしね」。社高2年秋に初めてプロのスカウトから声をかけられた。「それから約1年後にはこんな現実が待ってたんだなぁって、あの時はそんな気持ちにもなりました。懐かしいですね」。これが森脇氏のプロ人生の始まりだった。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)