元助っ人が強調する日本での学び 2度目の挑戦で躍進、忘れられない燕時代の恩人
Dバックスのマクガフ、ヤクルト時代に教わったスプリットが武器に
■Dバックス 3ー1 エンゼルス(日本時間2日・アナハイム)
二刀流を抑えた1球は、日本で得た武器だった。ダイヤモンドバックスのスコット・マクガフ投手はエンゼルス・大谷翔平投手相手に3球で勝負を決めにいった。投じた渾身のスプリットは「日本で教わったんだ」。NPB時代にヤクルトのコーチから学んだものだった。
大谷との初対戦は2点リードの9回だった。2球で追い込むと、最後は85.7マイル(約137.9キロ)のスプリットを外角低めに投げ込んだ。大谷ははじき返したが、一塁へのライナーとなった。その後ピンチを作るも、最後はレンフローを空振り三振に仕留めてゲームセット。「痛烈な打球だった。神様ありがとう」とおどけ、「勝てて良かった」と安堵の表情を見せた。
来日する前の7年間で、メジャーではわずか6登板。防御率9.45に終わっていた。2018年オフにヤクルトと契約。日本での経験が人生を変えた。「投手コーチたちがスプリットをいじる手助けをしてくれたんだ」。投手コーチを務めた田畑一也氏と伊藤智仁氏だった。
2019年に田畑コーチからは握り方を教わった。その年は6勝3敗、18ホールド、11セーブを挙げた。さらに、2021年からは伊藤コーチが就任。「彼のおかげで、どこにスプリットを投げるべきか理解できた」。同年から2年連続30セーブを挙げるなど、守護神として日本一、リーグ優勝に貢献した。
メジャー復帰した今年も、スプリットは自身の一番の武器となっている。4月は防御率3.95だったが、17試合連続で自責点なしを記録するなど、好投を続けて1日(日本時間2日)時点で2.93まで改善。ナ・リーグ西地区首位を走るチームの守護神も任されている。「体調はいいよ。米国の野球になじんだ。間違いなく修正期間があったが、チ―ムも準備を助けてくれた」と感謝する。
今でもヤクルトの試合をチェックし、チームメートとも連絡を取り合う。この日の試合後、日本メディアの取材に対しても「ゴー・ゴー・スワローズ!」とエールを送った。4年間でつけた自信が、今の活躍に生きている。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)