勝ち続けるチームが「悔しい」 虎のエースが2軍で向き合った“苦悩と我慢”
阪神・青柳は2日に行われたウエスタン・リーグのオリックス戦で5回2安打無失点の好投
阪神の青柳晃洋投手が2日、ウエスタン・リーグのオリックス戦(甲子園)に先発。5回2安打1死球、無失点の好投を見せ、1軍返り咲きへ猛アピールした。今季は開幕投手も務めた右腕は「レベルアップするために日々考えていた。呼ばれたらいつでもいける準備はできている」と、自信を口にした。
初回は1死から来田に右前打を許したが、後続を打ち取り無失点。4回も先頭の西野に一塁強襲内野安打を浴びたが、2つのゴロアウトを奪いスコアボードに0を並べた。最終イニングとなった5回は3者凡退。荒れ球はほとんどなく、内外高低を使った投球術で凡打の山を築いた。
甲子園でのナイターゲームを終えた右腕は「ファームでやりたいことはできた。そろそろ、ちゃんと結果を出さないといけない。自分の配球である程度、球数(67球)もまとまった」と充実した表情。ほぼ完璧な内容に和田2軍監督も「球の強さ、キレ。これまでで一番良かった」と賛辞を送っていた。
今季は開幕投手を務めたが苦しい登板が続き、5月19日の広島戦では5回8安打7失点で降板すると、翌日に出場選手登録を抹消された。1軍では7試合に登板し2勝3敗、防御率5.63と本来の姿を取り戻せなかった。2軍では原点に戻り、自らの投球を見つめ直す日々が続いた。
「どうやったらレベルアップできるか。去年と一緒だったら通用しないのは分かっていたので。その中で1つアクセントが加わるだけで配球の幅は拡がる。(1軍から)落ちた時からボール自体は悪くなかった。それをキープしながら。左バッターの内角や緩いボールだったり。1個1個確認しながら」
シーズン序盤でエースが抜けてもチームは順調に勝ち星を積み重ねていく。「悔しい気持ちもありましたし。上の試合をみて順調に勝っているのも悔しい。戻りたい気持ちもずっとありましたが、その中で自分がレベルアップするために日々考えていた」。複雑な思いを抱えながらも、その時が来ることを信じマウンドに立ち続けた。
「上で結果が出るか分からないが、ここでやってきたことが少しでも生きて、またチームに貢献できるようになれたら。自分のなかではすごくいい期間だったのかなと。呼ばれた時にしっかり結果が出せる心の準備をしたい」
やれることは全てやった。あとは声がかかるのを待つだけ。昨季に最多勝、最優秀防御率、最高勝率の投手3冠に輝いた“虎のエース”の完全復活は近い。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)