絶好調の吉田正尚が持ち込んだ“日本の姿勢” CY賞右腕も絶賛「理にかなっている」

レッドソックス・吉田正尚【写真:Getty Images】
レッドソックス・吉田正尚【写真:Getty Images】

CY賞2度獲得の経歴があるクルーバー「投手目線で考えても、すごく嫌なこと」

 日本の侍が、メジャーに持ち込んだものとは――。レッドソックス・吉田正尚外野手の“全力疾走”を、同僚でサイ・ヤング賞2度の経歴を誇るコーリー・クルーバー投手が絶賛している。

 吉田はオリックス在籍時から、凡打の際も全速力で一塁ベースを駆け抜ける。内野フライを打ち上げても同様で、懸命に二塁ベースまで走り切る。37歳のクルーバーは「日本では『基本』を大事にすると聞いたことがある。ランニングのフォームも、理にかなっている。彼が日本から(メジャーに)持ち込んだものだ」と目を細める。

 8日(日本時間9日)のアスレチックス戦では、「2番・左翼」でスタメン出場すると、2回の第2打席に相手失策で出塁。直後、果敢にスタートを決め、今季5盗塁目(失敗0)をマークした。

 バットでは4回に右中間へのエンタイトル二塁打を放つなど、6試合連続のマルチ安打で、打率を.313にまで上昇させた。クルーバーは「彼は本当に印象的だというイメージしかない。メジャーの投手と対戦したことがなかったと思うけど、素早くアジャストしている。それは本当に凄いことだ」と、高度な対応力に称賛の声を上げた。

 春先は打撃不振に苦しんだが、クルーバーは“ルーキー”を優しく見守っていた。「吉田は1球1球を自分で分析して、次のボールにしっかりと合わせられるように修正している。そして、次のボールに対応する能力が高い。だから、この世界でも結果を残すことができる」と強調。トップレベルの投手陣に食らいつく姿勢は、日々の“脳内アップデート”にあった。

 汗を流した吉田がクラブハウスで着替える中、クルーバーはそっと寄り添うように言う。「長いシーズンを戦っていく中で、『毎球の確認』はすごく大事なことになってくる。投手目線で考えても、毎打席でバッターが対応してくるのはすごく嫌なこと。毎打席、修正をきっちりして次に生かすのは大切な能力の1つ。必ず役立つと思う」。真摯に吉田を語るクルーバーに、“親心”が見えた。

(真柴健 / Ken Mashiba)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY