HRダービーで両打から27発 25歳捕手が挑んだ夢の舞台…胸に宿した“父の教え”

本塁打競争に出場したオリオールズのアドリー・ラッチマン(左)と打撃投手を務めた父のランディ・ラッチマン氏【写真:ロイター】
本塁打競争に出場したオリオールズのアドリー・ラッチマン(左)と打撃投手を務めた父のランディ・ラッチマン氏【写真:ロイター】

ラッチマンが父親とともに挑んだ初のHRダービーで27発を量産

 MLBオールスター戦を翌日に控えた10日(日本時間11日)、恒例のホームラン・ダービー(本塁打競争)が、マリナーズの本拠地T-モバイル・パークで行われた。今季前半戦を終えて両リーグトップの32本塁打をマークするエンゼルス大谷翔平投手は2年連続で参戦を見送ったが、全30チームの中から8人の強打者が参加。優勝はブルージェイズのブラディミール・ゲレーロJr.内野手。初参加で準優勝となった2019年の悔しさを晴らした。【シアトル(米ワシントン州)=木崎英夫】

「家族の勧めで今回出場することに決めた。父からのアドバイスは『ただホームランを打て』だった」

 強打で鳴らし2018年に殿堂入りした父ブラディミール・ゲレーロ氏を話に出して会場を沸かせた。

 地元マリナーズのフリオ・ロドリゲス外野手が第1ラウンドでの新記録となる41発を放ちシアトルのファンを熱狂させた今回のダービーで、印象的だったのは第1ラウンドで27本を放ったオリオールズのアドリー・ラッチマン捕手だった。

 昨季、オリオールズの正捕手の座についたスイッチヒッターは22本を左打席で放つと、ボーナスタイムに入ると、右打席に立ち30秒で5本を放ったが、対決した後攻のホワイトソックスのルイス・ロバートJr.外野手に1本差を付けられ準決勝進出はならなかった。

父に叩き込まれた捕手に求められる技術と姿勢

 ラッチマンはシアトルから車でI-5(州間高速道路5号線)を約3時間南下したオレゴン州出身。今回、打撃投手を務めた父ランディ・ラッチマン氏によって幼少期から捕手としての英才教育を受けた。高校時代にマリナーズから40巡目でドラフト指名を受けたが、契約はせず、オレゴン州立大に進学。2019年のドラフトでオリオールズから1巡目全体1位で指名を受け入団した。

 2021年5月21日(同22日)にメジャーデビューすると、初ヒットを三塁打で飾り、その後のチームの流れを変え、16勝24敗だったチームは昇格後67勝55敗でシーズンを終えた。その年、113試合に出場し、カル・リプケンが持つ新人の球団記録を塗り替える35二塁打を記録。正捕手の座についたラッチマンは、チーム再建への鍵となる存在になった。

 昨季は堅実な守備と、35二塁打(新人1位)、65四球(同2位)、49長打(同3位タイ)、出塁率.362(同4位)、OPSは.806(4位)の好打でア・リーグの新人王投票で2位に入った。

 今季も開幕戦で5安打を記録するなど、攻守でチームを引っ張っている。

「期待の声はたくさん聞こえてくる。だけど、不調になったり失敗続きとなればそういうのは一気に冷める。僕は小さい頃から、外的なものに惑わされないよう真摯に野球を続けてきた。これからも変わらない。父の教えをずっと守っていきたい」

 ボールのブロッキング、フレーミング、スローイング、配球……。捕手に求められる技術も姿勢も子どもの頃から父に叩き込まれた。

 両打席でバットを振った息子に父ランディ・ラッチマンは左手にキャッチャーミットをはめ投げ込んだ。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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