通算打率.228から“首位打者”に覚醒 打撃コーチ絶賛…吉田正尚の穴を埋めた“変化”

四球数は昨年の23個を上回る28個をマーク

 打席の中で“打つべき球”と“見逃す球”を判断し、打者有利のカウントを作っているという。昨年はやや引っ張り傾向だったが、今年は中堅から右方向への打球が増えた。詰まりながらでも逆方向への安打、昨年23個(271打席)だった四球も今年はすでに28個(279打席)を選ぶなど、はっきりと数字でも現れている。

「綺麗に打たなければヒットにならない。そういった考えじゃなくなっている。打つポイントによって『こんな風にできる』というのが本人も分かってきたんじゃないかな。状況によってスイングの強度を変えているので、相手もどういうバッティングをしてくるのか考えている」

 長打だけを警戒すれば良かった打者が、率も残し際どいボールを見極める。相手バッテリーからすれば、これほど嫌な打者はいないだろう。現役時代は「繋ぎの4番」として活躍した小谷野コーチも「彼は羨ましいぐらいの長打力を持っている。そういったバッターが『何をしてくるか分からない』。これは相手も攻め方に悩みますよ」と口にする。

 あとは夏場を迎え、どこまで調子を維持することができるか。1軍の最多出場は昨季の81試合だが「まだ、まだレベルアップしていく選手。今でも十分高い能力を発揮しているが、もっと良くなっていく。本来は器用な選手ですから」と小谷野コーチ。初の規定打席、タイトル獲得へ。くすぶっていた大器がプロ5年目で覚醒の時を迎える。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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