朗希&由伸超えの「抜群の安定感」…決意の先発転向を成功させた剛腕の“宝刀”
6試合連続で7回2失点以内とHQSリーグトップの西武・平良
西武は13日、敵地・ソフトバンク戦(PayPayドーム)に4-2で勝利し、先発した平良海馬投手は7回110球を投げて4安打4奪三振2失点の好投、これで6勝目を挙げた。今季救援から先発に転向した剛腕は、低迷するチームの中にあって安定感のあるピッチングが光っている。
平良は今季13試合に登板し、クオリティスタート(QS、6回を投げ自責3以内)を記録したのが12試合。5月18日の日本ハム戦(エスコンフィールド北海道)で5回2失点で降板した以外は、全ての登板機会でしっかりとゲームを作っている。QS率92.3%はオリックス・山本由伸投手(91.7%)、ロッテ・佐々木朗希投手(83.3%)らパの名だたる先発投手を上回り、リーグトップ。12球団でもNo.1の数字だ。
さらに特筆すべきは、「7回を投げて自責2以内」のハイクオリティスタート(HQS)も、13試合中8試合で記録している点だ。6月4日の交流戦・DeNA戦(横浜)から直近の登板まで、6試合連続で7回2失点以内。HQS率61.5%も、山本、佐々木朗の50.0%を上回りリーグトップの数字をマークしている。
この平良の安定感を引き出している要因の1つが、宝刀スライダーが効果的な武器となっていることだ。セイバーメトリクスを用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、スライダー100球当たりの失点増減を示す「wSL/C」は3.00。この数値はプラスになればなるほど「スライダーを投じた結果が良かった(ストライクカウントが取れた/アウトを取れた)」ことを示すが、規定投球回に到達している投手の中では12球団トップ。2位・山本の2.97も上回っている。
防御率2.22は佐々木朗(1.48)、山本(1.79)に次ぐリーグ3位。打線の援護に恵まれていれば、もっと勝ち星を伸ばせていたといえるかもしれないが、決意の先発転向は目下のところ成功だったといえそうだ。後半戦の、剛腕のさらなる飛躍に期待したい(成績、指標はすべて7月13日終了時点)。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。