松井監督が大興奮「いやね、もう見事」 まもなく40歳…おかわり君が担う重責

西武・中村剛也【写真:小林靖】
西武・中村剛也【写真:小林靖】

39歳11か月で新たな記録「エンドランくらいの気持ちでいました」

■西武 1ー0 日本ハム(15日・ベルーナドーム)

 西武の中村剛也内野手は15日、本拠地のベルーナドームで行われた日本ハム戦で、球団史上最年長となるサヨナラ打を放った。0-0で迎えた9回に適時二塁打。39歳11か月で新たな記録を刻んだ。西武は9日まで今季最長の8連敗を喫していたが、翌10日から一転4連勝。離脱者が相次ぐ苦境にあって、来月15日に40歳となるベテランがチームを牽引している。

 両チーム無得点のまま、試合は9回。1死二塁の好機に打席に入った中村は、この回から登板した相手2番手の池田隆英投手に対し、カウント1-2と追い込まれながら、4球目の外角のカットボールをとらえた。打球はセンターの頭上を超える。二塁ベースに到達した中村は、チームメートが浴びせる祝福のウオーターシャワーを笑顔でかわしながら、速度を緩めずに三塁側ベンチの方へ戻っていった。

「相手の外野がちょっと前に来ていたので、最初は決めるなら角度をつけてと思っていましたが、追い込まれちゃったので、(バットが)届く球には(全て手を出そうと)エンドランくらいの気持ちでいました」。ヒーローは淡々とした口調で振り返った。むしろ、松井稼頭央監督の方が「いやね、もう見事ですね。ここというところでね、さすがだと思います。勝負強さは今までも見てきましたが、緊迫した中で改めて……理想のサヨナラ勝ちじゃないかと思います」と興奮気味だった。

 チームは山川穂高内野手に続き、代役の4番が板につきつつあった渡部健人内野手も走塁中に左足を痛め、2日に出場選手登録を抹消された。中村自身、3・4月に月間MVPに輝く開幕スタートダッシュを見せた後、脇腹を痛めて5月27日から約1か月間戦列を離れていたが、復帰後は双肩にかかる期待がなおさら重くなった。

最下位脱出へ5位日本ハムに0.5ゲーム差肉薄

 栗山巧外野手と並ぶチーム最年長選手とあって、全試合フル出場とはいかなくても、休養を挟みつつ、最近スタメンで出る試合は常に4番を張っている。15日現在、チーム81試合中、最多の34試合でスタメン4番を務めている。“満身創痍”のチームにとって随一のポイントゲッターで、精神的支柱でもあるが、「周りの人たちが見てそう思ってくれるなら、いいと思います」と、本人の物言いはいつも控えめだ。

 いよいよ夏本番。特に屋根はあっても壁はない、自然共生型のベルーナドームは蒸し暑く、ベテランには酷なはずだが、「試合に出る時はDHが多いので大丈夫」と笑う。実際、昨季は三塁手として53試合、DHとして17試合スタメン出場した中村が、今季はいまだ1度も試合で守りに就いていない。首脳陣としては、極力負担を減らし、打撃に集中させるための配慮だろう。中村は「暑さ対策? ないですよ。我慢です」と流れ落ちる汗をぬぐう。

 最下位の西武がオールスターまでに残すは、0.5ゲーム差に肉薄した5位・日本ハムとの直接対決2試合のみ。最下位を脱出して球宴を迎えたいところだ。しかし、上昇気流に乗りかけたここにきて新たに、中継ぎの一角として防御率1.95と安定していた森脇亮介投手の「右上腕動脈閉塞症」が判明し、戦列を離れた。

「投手も野手も全員でカバーして、助け合ってやっていきたい」と声を励ます松井監督。中村も「そうやっていくしかないと思うので、みんなでやっていけたらなと思います」と強くうなずいた。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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