迫る支配下登録期限…2軍に眠る“第2の宇田川” 育成の158キロ剛腕は救世主となるか
苦しむ楽天1軍を救うか…育成の清宮虎多朗はイースタン最速の158キロを記録
前半戦も終わり、ここからリーグ制覇、クライマックスシリーズ進出へ向けた順位争いが本格化してくる2023年シーズン。後半戦の攻勢に欠かせないのが、新戦力の台頭だろう。今回はファームで活躍を見せている若手たちの中から、後半戦の起爆剤となり得る選手をピックアップして紹介したい。(数字は16日終了時点)
西武の高卒2年目・羽田慎之介投手は今季イースタン・リーグ7試合に登板して防御率2.28をマーク。そのうち先発した5試合で平均球速148.3キロ、最速155キロを記録するなど、スターターの中では屈指の速球派として頭角を現してきた。ここ最近は公式戦での登板から遠ざかってはいるが、シーズン終盤に1軍でそのスピードボールが見られるのか注目したい。
リリーフでは楽天でファームのクローザーを務める育成右腕・清宮虎多朗投手が、その剛腕ぶりを見せつけている。今季マークした158キロは西武・今井達也投手らを抑えてリーグ最速。奪三振率も11.19と高い数字を残しており、リリーバーとして高い資質を示している。今シーズン中の支配下登録期限は7月末に迫ってきているが、チームの救援陣を底上げする存在として限られた枠を勝ち取ることができるだろうか。
すでに1軍の戦力となりつつあるロッテの横山陸人投手。9日にはプロ初セーブを挙げるなど、徐々に重要な場面での出番を増やしている。2軍の登板に目を向けると、左打者に対する成績が際立っている。被打率.133はさることながら、奪三振割合は5割に迫る46.9%を記録。右のサイドハンドは右打者に強いというイメージを持つ方も多いと思うが、横山の場合は少し異なるようだ。1軍でもここまで左打者をよく抑えており、勝負所での対左打者には注目してもらいたい。
フレッシュ球宴で優秀選手のオリ野口は32試合で5発とパワー面でも成長
ウエスタン・リーグでは、バットコントロールの優れた若手たちがしのぎを削っている。ストレートに対するコンタクト率をみると、今季途中に日本ハムへトレード移籍した郡司裕也捕手は、ファームではストレートに対する空振りがほとんどなく、直球に振り負けないバッティングが持ち味だ。移籍後は1軍での出番も増えており、ファームで磨いた打撃でチームを上昇気流に乗せていきたいところだ。
またソフトバンクの増田珠内野手は150キロ以上の直球に絞ってもここまで90%以上のコンタクト率を記録。1軍は2軍と比較して速球派が多くなるだけに、スピードボールを苦にしないというのは大きな武器になるはずだ。リーグ断トツの出塁率.386と出塁能力も高く、チームに得点力アップをもたらすだけの素質を備えている。
最後に取り上げるのは長打力が魅力の2人のバッターだ。1人目は主砲候補としてたびたび名前が挙がるソフトバンクのリチャード内野手。昨季まで3年連続で同リーグの本塁打王に輝いたが、今季も圧倒的なパワーを見せつけている。打者の長打力を測るISOという指標ではリーグ唯一の.300超え。なかなか1軍定着には至っていないが、限られたチャンスをものにできれば、一気に打線の中心を担う存在になってもおかしくはないだろう。
もう1人はオリックスの2年目・野口智哉内野手だ。ここまでファームでは.350とハイアベレージを残しながら、32試合で5本塁打とパワーの面でも成長を見せている。1軍と2軍の行き来が続いていたが7月8日に再昇格して以降は好結果を残しており、フレッシュオールスターでは1本塁打含む4打数3安打3打点の活躍で優秀選手賞を受賞した。内外野を守れるユーティリティ性を生かしてレギュラー陣を脅かしていきたいところだ。
昨年は7月末に育成から支配下登録されたオリックス・宇田川優希投手がチームの日本一に貢献。WBC日本代表にも選出されるなど大きな飛躍を遂げた。今季はそんな新生の台頭が見られるのか。残り60試合あまりとなったシーズンから今後も目が離せない。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)