8勝目そっちのけ 大谷翔平、電撃移籍の可能性は低くても…13分間の“異様な空気”
「球団からトレードしないと話をされたか?」 大谷の囲み取材は異様な空気に
■エンゼルス 8ー5 パイレーツ(日本時間22日・アナハイム)
エンゼルスの大谷翔平投手は21日(日本時間22日)、本拠地・パイレーツ戦で7回途中6安打5失点で今季8勝目を挙げた。自己ワーストの1試合4被弾を喫したが、打線の4発8得点の援護に守られた。バットでは1打数無安打3四球で打率.305。チームは4連勝を飾り、ワイルドカード進出圏内までは4ゲーム差とした。
8月1日(同2日)の期限が迫り、この日の大谷の囲み取材は“勝利そっちのけ”だった。18問のうち6問が去就関連だったが、どのメディアも渦中のスターの思いを聞きたいのは明らか。「投げている時にエンゼルスとして最後の登板だと思ったことはあったか」と踏み込んだ質問には、大谷は「それはないですね」と困惑の表情。「エンゼルスと再契約したい考えは?」「球団からトレードしないと話をされたか?」とのド直球質問もあった。異様な空気が流れる13分間だった。
打席の度にスタンドからMVPコールが送られ、7回途中の降板後には総立ちで迎えられた。「STAY ANGELS」のボードを持つファンも。仮にトレード放出となれば、観客数がガクッと下がるのは目に見えている。去就の鍵を握るモレノオーナーが来季以降の再契約を見据えて、ひとまず今季終了まで残留を望むのは当然だろう。
そして、ポストシーズン進出も決して夢ではない。ワイルドカード進出圏内のブルージェイズとは4ゲーム差。「このチームでプレーオフに行きたい、そこで勝ちたいという気持ちは変わらない」。7月末には、このブルージェイズ、ナ・リーグ勝率1位のブレーブスが控えているが、より大事なのは22、23日(同23、24日)の本拠地・パイレーツ戦と25日(同26日)からの敵地・タイガース3連戦。ここで取りこぼすようだと、トレード戦線で売り手に回る可能性が高まる。
「去年、一昨年は完全に売り手側だった。正直チームの主力の選手が他チームにトレードされるのを見ている側だったので、チームとしての士気は全然違いますよね。今年みたいな位置にいるか、全くチャンスのない位置にいるかでは、ワンプレー、ワンプレーの気迫がチームとしても変わってくるんじゃないかなと思います」
悲願のポストシーズン進出へ負けられない戦いは続く。周囲はトレード、トレードと騒がしいが、モチベーションMAXの大谷が見られることは間違いない。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)