「ムシテル」日本の夏に大奮闘 レオの新4番を打撃“チーム4冠”に導いた練習法
徐々に打率上げ打率.258、82安打10本塁打30打点はチーム4冠
■楽天 4ー2 西武(23日・ベルーナドーム)
4番に定着しかけた選手が、怪我などで相次ぎ戦列を離れてしまう今季の西武。そんな中で、今後4番を打つ機会が増えそうなのが、来日1年目のデビッド・マキノン内野手だ。24日現在、チームでただ1人全試合に出場し、打率、本塁打、打点、安打数の4部門でチームトップ(本塁打と打点は外崎修汰内野手とタイ)の数字を挙げている。
西武は23日、本拠地ベルーナドームで行われた楽天戦に2-4で敗れ、今季最長の連勝が7で止まった。「4番・一塁」で出場したマキノンは、初回1死一、二塁の先制機に、楽天先発・則本昂大投手の速球を打ち上げ捕邪飛に倒れたのをはじめ、4打数ノーヒット。それでも、5月上旬に2割2分台にまで落ち込んでいた打率は、いまや.258に上昇し、82安打とともにチーム単独トップとなっている。
10本塁打と30打点も、外崎と並んでチームトップ。17日の日本ハム戦の7回には、左翼席へ10号ソロを放った外崎に負けじと、2者連続弾となる10号ソロで続いた。「トノ(外崎)に1本先を越されたから、追いつくために打ったんだ」と、チーム内での競争意識もプラスに働いている様子だ。
「マック(マキノン)の貢献度はものすごく高いと思っています」と評するのは、平石洋介ヘッドコーチ。「声を出してチームを鼓舞しますし、非常に頭のいい選手でもある。オープン戦の頃はボールになる変化球を振らされていて心配しましたが、日々研究を重ねて対応してきました。今では選球眼が非常にいいですよ」と感心する。
山川→中村→渡部→中村を経て巡ってきたスポット
練習方法も工夫している。最近は試合前、グラウンド上ではフリー打撃を行わず、室内練習場へ向かうことが増えた。町田義憲通訳は「もともとメジャーでは、屋外でフリー打撃を行わず、ベンチ裏の室内練習場で試合開始直前まで打っている選手が多いそうです。マキノンは『屋外で打つと、どうしても柵越えを狙い、フォームのバランスを崩してしまう』と言って、室内を使うことが増えました」と解説する。日を追うごとに経験やデータを蓄積し、今後はさらなる成績上昇が期待できそう。一方、日本語の勉強にも積極的で、日本特有の猛暑の中、最近覚えた言葉は「ムシテル(蒸してる)」だそうだ。
西武は今季、不動の4番と目されていた山川穂高内野手が、5月12日に出場選手登録抹消。39歳の中村剛也内野手が、3・4月の月間MVPに輝く活躍でこれに代わったが、5月27日には脇腹を痛めて戦線を離脱した。
そこで救世主として現れたのが3年目の渡部健人内野手で、1軍昇格即4番起用。打率.275、4本塁打14打点と健闘し、4番の座が板につきかけていたが、惜しくも左足を痛めて7月2日に離脱してしまった。その後は再び中村が務めていたが、同21日に特例2023の対象選手として抹消されている。
松井稼頭央監督は「相手投手との兼ね合いを含めて、打順は変わっていくと思います」と言う。代わる代わる4番を務め、それぞれレベルアップした選手たちが、終盤戦でスタメンにズラリと顔をそろえることになれば楽しみだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)