阪神は「打線の上がり目ない」 打開策は佐藤輝明…専門家が指摘する“打撃の意図”
阪神・伊藤将は6回3安打1失点の力投で4勝目をマーク「一番の収穫」
■阪神 4ー2 ヤクルト(23日・神宮)
阪神は23日に行われたヤクルト戦(神宮)に4-2で勝利した。負ければ首位陥落の可能性もあったが、終盤に相手のミスにつけ込んで勝ち越しに成功。7連勝と勢いに乗る広島とのゲーム差は「0」と、激しい首位争いを繰り広げている。野球評論家の新井宏昌氏は「打線の上がり目はそれほど感じない。阪神は投手力で踏ん張ることが求められる」と、今後の展開を予想した。
阪神は1点を追う3回に梅野隆太郎捕手、木浪聖也内野手の連続二塁打で同点に追いつくと、7回には1死二、三塁から代打・渡邉諒内野手の一ゴロをオスナがファンブルし勝ち越し。8回には佐藤輝明内野手が左中間へ適時二塁打を放ちリードを広げた。投げては先発の伊藤将司投手が6回3安打1失点の力投で4勝目を挙げた。
この日は広島が中日に勝利し、負ければ首位陥落という状況だったが、接戦を制し踏みとどまった。新井氏は「今日の試合は相手のミスに助けられた勝利。1つのミスで試合はガラッと変わった。一番の収穫は伊藤将に勝ちが付いたことが大きい」と試合を振り返る。
チームは後半戦から近本が復帰し、徐々に役者がそろいつつある。それでも、チーム打率.236はリーグワーストで41本塁打もリーグ5位。一方でチーム防御率2.81はリーグトップと“投高打低”が如実に現れている。その中でも新井氏は、打率2割前半と苦しむ佐藤輝について「この日は1本タイムリーは出たが、どういう打撃をするのか意図が感じられない」と指摘する。
広島は新井新監督の采配がハマり怒涛の7連勝「投打のバランスが良くなった」
佐藤輝は今季、開幕から調子が上がらず2軍落ちも経験。ここまで76試合に出場し打率.216、10本塁打43打点、得点圏打率.211と苦しんでいる。不振の原因を「タイミングが遅れ直球に差し込まれ、ボール球に手を出す」とし「ポイントが近いことは悪いことではないが、先手を取られないタイミング作りが必要」と語る。
後半戦はこれまで以上に4番・大山悠輔内野手へのマークが厳しくなるだけに、前後を打つシェルドン・ノイジー外野手、佐藤輝の状態が鍵を握ると見ている。先発、中継ぎと安定した投手力は健在なだけに「まだ打線の上がり目は感じない。今日の試合のように最少失点で逃げ切っていくしかない」と、チーム状態を分析した。
一方で2位の広島は怒涛の7連勝と勢いに乗る。4番として期待したライアン・マクブルーム内野手が不振で2軍調整、主軸の西川龍馬外野手を欠くなかでも、新井貴浩新監督の采配が見事にハマり、白星を重ねている。栗林良吏投手も4月22日のDeNA戦以来となるセーブを挙げるなど状態は上がっている。
「中心選手を欠く中でも上本(崇司内野手)を4番に置くなど、好調のチームらしくうまく回っている。懸念されていたブルペン陣も充実し、投打のバランスが良くなった。DeNAが状態を落とし現状の首位争いは阪神と広島の2チーム。この状況はしばらく続く。阪神は投手陣がどこまで粘れるか、期待したい」
阪神は25日からは本拠地・甲子園で巨人戦、さらに広島との直接対決と続く。7月を締めくくるに相応しい熱戦が期待される。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)