担当者が奔走した「ウル虎ユニ」誕生の裏側 最終判断は岡田監督…ド緊張の“一発勝負”
「ウル虎の夏2023」のコンセプトは「トランスフォーム」、SF風なユニホームに
今夏も甲子園を熱狂の渦に巻き込む。阪神の一大イベント「ウル虎の夏2023」が、25日からの巨人、広島6連戦で開催される。ユニホーム、演出、豪華ゲスト……。恒例の夏企画には営業担当者の努力が詰まっている。事業本部営業部の中嶋奏真さんが、その裏側を明かしてくれた。
今年で11年目を迎える“ウル虎”のコンセプトは「トランスフォーム」。岡田彰布新監督を迎えるシーズンなどを意味し、注目のユニホームは近未来的なデザインが随所にほどこされ、背ネーム、背番号にも“SF風”の特徴的な書体が採用されている。
2021年からデザインを担当する中嶋さんは、「選手、ファンが一丸となって戦いスタンドを黄色に染める。できるだけインパクトのあるものを心掛けています。毎年春季キャンプで発表するのですが、ファンの皆様から色々な意見をSNS等で目にします。賛否あるのは承知のうえです」と、飽くなきアイデアの追及を心掛けている。
これまでも虎柄などインパクト抜群のユニホームでファンを沸かせてきた。今回も企画会議は昨年9月からスタート。試行錯誤した結果、100パターンを超えるデザインの中から3つをチョイスした。昨年11月に行われたファン感謝デーの際に選手、首脳陣に意見を聞き、岡田新監督に最終チェックを仰いだ。
ユニホームの最終チェック…岡田監督からは「一発OK」
「ユニホーム=戦闘服と考える監督。派手なユニホームなので『どうだろう』と……。一発勝負ですし、これでOKがでなければ(メディアでお披露目する)春季キャンプに間に合わない。本当に緊張しながら祈っていました」
3つのサンプルを指揮官に届け、甲子園の別室で待機していた中嶋さんの携帯電話が鳴った。「監督からOK出ました」。担当者から連絡を受けると一気に緊張感から解放された。「全て否定されることも覚悟していたが、3つのサンプルのうち一番推していたものが選ばれたと聞いて一安心(笑)。これまでで一番緊張した瞬間でした」と当時を振り返る。
レプリカユニホームを配るイベントは他球団も毎年のように行っているが、6日間連続で来場者全員にプレゼントするのは12球団で阪神だけ。既に前売り券は完売しており、約30万枚のユニホームも準備済だ。
年に一度のビッグイベントを前に、中嶋さんは「ウル虎があったから甲子園が好き、阪神が好きと言ってくれるファンをどんどん増やしていきたい。アップデートを忘れず、これからもお客様に喜んでもらえる企画を考えていきたいです」。チーム、ファンに勢いをつける「ウル虎」イベントで、2005年以来、18年ぶりの“アレ”を後押しする。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)