坂本勇人の“代役”におさまらぬ存在感 「新人とか関係ない」巨人22歳の潜在能力
守備と足は抜群…7月の月間打率.283で打撃も頼もしく
■巨人 4ー0 中日(30日・東京ドーム)
巨人のドラフト4位ルーキー・門脇誠内野手の進撃が止まらない。これまで抜群の守備と俊足で耳目を引いてきたが、30日の中日戦(東京ドーム)では、打っても8回に貴重な2点適時二塁打を放ち、4-0での快勝に貢献した。
打撃にも力強さが出てきた。巨人は0-0で迎えた8回、中日2番手の清水達也投手を攻め、まずは1死二、三塁から20歳の秋広優人内野手が右前へ先制2点適時打。なおも2死一、二塁とし、「8番・三塁」でスタメン出場していた門脇が真ん中低めの150キロ速球をとらえ、左中間を深々と破る二塁打で2人の走者を迎え入れたのだった。
「試合に出ている中で一番若い秋広がああやって打ってくれて、自分も若手に入るので、若手で勝てる試合を増やしていきたいな、と思いながら打席に入りました」と明かす門脇は、創価大から入団した1年目の22歳である。
予兆は、3回無死一塁での第1打席で見えていた。中日先発の右腕・柳裕也投手に対し、カウント1-0から2球目の真ん中内寄りのカットボールに手が出ず、見送りストライクを取られる。ところがその直後、さらに難しい内角低めに来た3球目の内角低めのカットボールを完璧にとらえた。痛烈なライナーが一塁手のダヤン・ビシエド内野手の正面をつき、不運な一直併殺打となったが、優れた対応力をうかがわせたシーンだった。1割台と低迷していた打率は、7月に月間打率.283(60打数17安打)をマークして上昇。30日現在、打率.211となっている。
「その場で感じることを大事に」…守備の秘訣は「1歩目と予測」
坂本勇人内野手が怪我で出場選手登録を抹消されていた間、連日代役の遊撃手を務めて評価を上げた。28日の坂本復帰後も、ポジションをサードに移してスタメン起用が続いている。門脇自身は「今は打てているけれど、打てなければ試合に出ていないと思います」と分析。「新人とかはあまり関係ないと思っています。今いる立場でしっかり結果を出したい。(守備位置は)どこでも大丈夫です」と頼もしい。
“ゴールデン・グラブ級”の守備の秘訣は、「1歩目と予測」だと言う。データとその場の打者の様子から、どこにどんな打球が飛んでくるかを予測しながら細かく守る位置を変えている。「データをある程度頭に入れた上で、こう来そうだなとか、その場で感じることを大事にしています」と明かす。
もはや、捕って当然の打球を処理しているだけでは満足できない。「はたから見たら普通のヒットでも、自分の横を抜けた打球で、こっちにいたら捕れたのにな、と思うことが結構あります」。この日の6回にも、中日・福永裕基内野手が三遊間へ放った痛烈な打球が、ダイビングキャッチを試みたグラブの下をかいくぐり左前に達した。「あの打球は悔しかった。行けたわ、と思いました」と悔しがっている。
今後データと経験を蓄積していけば、守備力はさらにアップするということ。打撃を含め、進境著しい門脇の潜在能力はまだまだ底が見えない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)