大谷翔平に導かれた“両投げ”の小学6年生 MLB公式も注目…右で123キロ、左で116キロ

「船橋フェニックス」の原悠翔【写真:家族提供】
「船橋フェニックス」の原悠翔【写真:家族提供】

全日本学童野球大会に出場する「船橋フェニックス」の原悠翔投手

 8月6日から行われる「高円宮賜杯 第43回 全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」に、両投げの二刀流選手が出場する。東京・世田谷区の軟式チーム「船橋フェニックス」に所属する小学6年の原悠翔投手で、右投げで123キロ、左投げで116キロを誇り、打撃も打率6割超というスーパー小学生だ。

“両投げ”の怪物は、大谷翔平投手に導かれるように誕生した。幼稚園の年中だった2016年、日本ハム戦を観戦するために東京ドームに出かけた。すると、観戦していた左翼方向に大谷のホームランが飛んできた。それまではサッカーをやっていたが、これをきっかけに野球にのめり込んだ。

 父の啓司さんと公園で行う野球に熱中。午前7時から始め、お昼近くになっても帰ろうとしなかった。啓司さんは「サッカーだと早く帰りたがるのに、野球だと帰ろうとしませんでした」と笑顔で振り返る。

 その翌年の2017年。大谷のNPB最後の登板となった10月4日のオリックス戦(札幌ドーム)を観戦したのがもう一つの転機になった。大谷はこの試合で完封勝利。その後、利き腕の右腕をアイシングしながら左腕でボールを観客席に投げ入れるシーンが悠翔少年の目に留まった。「あー、左で投げてる。僕もやる!」。

右投げで123キロ、左投げで116キロを誇り、打撃も打率6割超を記録【写真:片倉尚文】
右投げで123キロ、左投げで116キロを誇り、打撃も打率6割超を記録【写真:片倉尚文】

今年左投げでも公式戦デビュー…MLB公式サイトも活躍を伝える

 小学校入学後も周囲の勧めもあり、左投げの練習を続行。4年時に右肘に異常が見つかり、3か月間投球を禁止されたが、この経験も左投げを促進させる契機になった。土日の学童野球では右で投げながら、平日は左でも練習。今年ついに、左投げの“公式戦デビュー”を果たした。

 投げるだけではなく、バッティングでも両打ちからスタート。左と右の差が顕著になってきたため小3からは、ほぼ左打ちに専念している。その打棒は打率が6割を超え、小学2年から積み重ねてきたホームランは117本に及ぶ。

 原の活躍は早くも海外にもとどろいている。MLB公式サイトが先日、記事を掲載。「12歳の両利きスター」と伝えた。「大谷さんを超えたい思いでやっています。左右両方ですごい球を投げたい思いはあります」と原は力を込める。

 若年層が野球をやるうえで、常に問題になる投球過多による肩肘の故障。左右両方で投げられれば、その負担は単純に半分になる。体のバランスにも偏りがなくなる。将来を見据えた上で大きなメリットになり、武器になるだろう。無限の可能性を秘めた両投げのスラッガーは今後、どんな成長曲線を描くか。注目される。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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