大谷翔平、700億円超の超大型契約には「莫大なリスク」 米紙が懸念する2つの“問題点”
「ワシントン・ポスト」が詳報…29歳は「くだり坂に入る年齢」
今オフにFAとなるエンゼルスの大谷翔平投手はどのチームとどんな契約を結ぶのか? いずれにせよ莫大な契約を結ぶだろうと米メディアは予想しているが、米紙「ワシントン・ポスト」はリスクも伴うと指摘。「ショウへイ・オオタニは歴史を作っている、だが彼の次の契約は莫大なリスク」の見出しで伝えている。
記事は、大谷がFA市場に出れば、5億ドル(約709億円)以上を獲得すると信じられている。次の契約は、MLB史上最高額であるマイク・トラウト外野手の12年4億2600万ドル(約604億円)を上回る可能性があるようだと解説。一方で、大谷は7月5日に29歳になったが、選手がグラウンド上では「下り坂に入り始める年齢だ」とも述べる。
打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標「WAR」によれば、一般的に打者は25歳からピークを迎える。投手のピークの時期も似たようなものだが、28歳以降は(打者より成績が)急降下するという。
米データサイト「ファングラフス」のWARでは、今季の大谷は打者として7.0、投手として3.0と予想されている。大谷との長期契約を狙っている球団はどこも、ポジション別の加齢曲線を考慮して(成績の)予測を立てるだろうとし、MLBの上級データ設計者、トム・タンゴ氏が開発した予測システムを用いると、大谷は今後10年間で打者としてWAR27、投手としてWAR15を生み出すことが予想できるという。この場合、大谷の価値は3億3700万ドル(約478億円)と試算される。選手のWARの価値が毎年5%ずつ上昇するとすれば、価値は10年間で3億8700万ドル(約549億円)に上昇するそうだ。
5億ドル以上の金額に値する結果を残すには、WARの観点では大谷は10年間にわたって60WAR以上を生み出さなければならないだろうと指摘する。MLBが薬物検査を導入した2006年以降、29歳から38歳までに打者が加算できた最大のWARはエイドリアン・ベルトレの47.5。投手では現役のマックス・シャーザーが50.8を加算しており、31歳と32歳の時に2年連続サイ・ヤング賞も受賞している。大谷は年齢を重ねる中で投打両方にわたり、「そのレベルの結果を提供できるだろうか? 5億ドルのリスクを冒す価値があるだろうか?」と疑問を呈している。
あるアナリストの編纂したデータによれば、1974年以降ではトミー・ジョン手術を経験したMLB投手のおよそ7人に1人は、だいたい(最初の手術から)5年後以降に2度目の処置を受けているため、大谷がインパクトを与えられる期間が減るとも記事は言及。投打でレギュラーの大谷は他のほとんどの選手より「怪我をする機会がはるかに多くなる」と述べている。
記事は更に「我々は彼の功績に驚嘆し、未来に待ち受けるものを期待することはできる」とした上で「このオフに彼を追い求めるチームは、これまでキャリア終盤に入っていった選手を取り巻く事情を念頭に置くべきだろう」とも述べている。
(Full-Count編集部)