「和真、いた?」から衝撃の6戦9発 「素晴らしい」原監督も唸った4番の集中力
岡本和が左翼バルコニー席に飛び込む特大の31号2ラン
■阪神 7ー6 巨人(8日・東京ドーム)
巨人の4番・岡本和真内野手の打棒が凄まじい。8日の阪神戦(東京ドーム)で試合には6-7で惜敗したが、6回に左翼席上方のバルコニー席に飛び込む特大の31号2ランを放った。2日のヤクルト戦(同)以降、最近6試合で9本塁打、その間打率5割(24打数12安打)、14打点の猛威を振るっている。
3回までに0-5とリードを許した巨人だったが、4回に長野久義外野手がバックスクリーン左の中堅席へ3号2ランを放ち反撃開始。6回1死一塁では主砲の岡本和のバットが阪神先発・西純矢投手をとらえる。カウント2-2からのフォーク。少し高く浮いたとはいえ、今の岡本和にはわずかな失投も逃さないオーラが漂っている。打球はあっという間に、バルコニー席まで届き、1点差に詰め寄った。
2日のヤクルト戦で2発、翌3日の同カードでも2発、4日の広島戦(マツダスタジアム)で小休止したものの、翌5日に1発、6日の同カードではなんと3発という本塁打ラッシュである。振り返れば、1日のヤクルト戦で4打数ノーヒットに終わった際、原辰徳監督が「和真、いた? 今日」と辛口のジョークを放ったことをきっかけに、翌日から打棒に拍車がかかった格好。岡本和自身は「おもろいコメントのおかげやなと思います」とあっけらかんと語っているが、それにしても驚異的な量産ぶりだ。
8回1死一、二塁で二塁打…原監督「初球から打てるのは素晴らしい」
しかも、本塁打だけではない。5-7で迎えた8回1死一、二塁。阪神の4番手・馬場皐輔投手への代わり端だった。馬場とは今季初対戦にも関わらず、145キロを計測した初球のカットボールを一振りでとらえた。打球は左中間を深々と破る二塁打となり、二塁走者の中山礼都内野手に続いて、一塁走者の秋広優人内野手もホームに滑り込んで一瞬“同点”となった。
阪神側がリクエストし、秋広のホームインはアウトに覆って、結局その1点が最後まで届かなかったが、岡本和の恐ろしさを首位・阪神にまざまざと植え付けたことは間違いない。原監督も「あの場面で、初球から打てるというのは素晴らしいと思いますね」と、集中力と技術に称賛を惜しまなかった。
8日現在、31本塁打はリーグ2位のヤクルト・村上宗隆内野手に11本差、72打点はDeNA・牧秀悟内野手に7差をつけて2部門トップ。打率もここにきて3割に乗せ、リーグ4位の.303となった。こちらは、トップのDeNA・宮崎敏郎内野手との間にまだ3分3厘差があるが、ひょっとしたら……と思わせるほどの勢いが、今の岡本和にはある。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)