「授業では教えられない」 東海大甲府・村中監督が最後の夏に語った“甲子園の意味”
東海大甲府を率いる村中秀人監督にとっては最後の夏の甲子園
第105回全国高等学校野球選手権記念大会は12日、阪神甲子園球場で大会7日目を行い、第2試合では8年ぶり14回目の出場となる東海大甲府(山梨)が5-7で専大松戸(千葉)に破れ、初戦突破は叶わなかった。今年度限りでの勇退を決めている村中秀人監督にとっては最後の夏の甲子園となり、試合後は「甲子園は最高の教育の場」と語った。
東海大甲府の粘りはすさまじかった。4回、6回と2度に渡って追いつき、7回には5-4と勝ち越した。直後に3失点して逆転されたものの、9回も2人の走者を出し追いすがった。
試合後の村中監督は「勝負には負けましたが、一生懸命プレーしてくれた選手たちに感謝しています。本当は勝たせてあげたかったんですけど、甲子園はそんな甘いもんじゃないなと……」と、感慨深そうに口にした。
東海大相模で選手として、巨人の原辰徳監督とチームメートだった。東海大、社会人のプリンスホテルを経て、東海大相模の監督に。1999年には東海大甲府の監督に就任した。夏の選手権では2度の4強入りを果たしている。「選手としても監督としても、甲子園は最高の教育の場。授業では教えられない。人生においてプラスになる」と、聖地への思いを明かす。
来年3月の勇退後は未定とするも「東海大付属校全体を見たい」
選手も、この経験をかけがえのないものとして先の人生に生かしていく。主将の兼松実杜外野手(3年)は指揮官への思いを「謙虚に、人に感謝の気持ちを持つことを教わりました。人として成長させてくれたのですごく感謝しています」と口にした。
村中監督は来年3月31日までは監督として指導を続ける。さらに来春の選抜出場が実現すれば指揮を執る意向だ。勇退後は今のところ未定としながらも「東海(大付属高校)全体を見たいなと。(東海大)相模も浦安も僕の教え子がやっていますし、ここ数年甲子園から遠ざかっているチームを教育したいなという考えもあります」と、より広い視野で母校への恩返しを続けるつもりでいる。
「最後の最後に、甲子園に連れてきてくれた選手たちに感謝しています」。選手を包み込むような、終始穏やかな表情が印象的だった。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)