巨人ブリンソン“怠慢走塁”は「言い訳できない」 原監督も注目…挽回の全力疾走
初回にグランドスラム 満塁では驚異の打率.625
■巨人 8ー1 DeNA(13日・東京ドーム)
“反省後”に猛打を振るっている。巨人のルイス・ブリンソン外野手は13日、本拠地・東京ドームで行われたDeNA戦で、初回に9号満塁本塁打を放つなど5打数3安打4打点の活躍。チームの8-1での大勝に貢献した。9日の阪神戦では全力疾走を怠り、二塁打の当たりをシングルヒットにとどめる失態を犯したが、翌日から生まれ変わったかのように打ちまくり、全力疾走を続けている。
巨人は初回、DeNA先発の左腕・石田健大投手に対し、先頭の長野久義外野手がいきなり三塁打を放ち、続く吉川尚輝内野手の二ゴロの間に先制のホームイン。なおも3連打で1死満塁と攻め立て、ブリンソンが右打席に立った。カウント1-0から、内角のベルト付近の高さに来たスライダーを振りぬくと、打球は左翼席中段へ飛び込んだ。
今季トータルでは打率.255(13日現在、以下同)のブリンソンだが、8度の満塁の場面では8打数5安打11打点、打率.625の“満塁男”ぶりだ。「ビッグチャンスは好き。満塁では、自分より投手の方が緊張しているだろうと思っているし、自分の方が有利だと自分に言い聞かせているよ」と笑顔が弾けた。
9日の阪神戦では、中堅フェンス直撃の大飛球を放った瞬間、本人は本塁打と確信してその場に立ち尽くし、走り始めたもののジョギング程度。二塁打になるはずの当たりをシングルヒットにとどめた。原辰徳監督は試合後、「私の指導不足で、(野球を)志す少年たちに対しても、全ての野球人に対しても、申し訳ない。非常に恥ずかしいプレーでした」と頭を下げた。
ブリンソンは翌10日の同カードでは、スタメンから外されたが、6回の守備から途中出場すると、唯一の打席でバットを折ながら打球を三遊間に運び、全力疾走で内野安打をもぎ取った。この1安打を含め、“改心”後の4試合では、13打数6安打6打点(打率.462)をマークしている。
「言われてから反省するのはプロではないし、大人ではない」
そういう意味で、この日満塁弾以上に注目されたのが、8回に放った左翼フェンス直撃の二塁打だった。全力疾走で悠々二塁に到達。原監督は「あれで走っていなかったら大変だよ。そこらへんは目を凝らして見ていますから。少し薬が効いてきたかな」とおどけ、本人は恥ずかしそうに「弾道が低く本塁打にはならないと思ったので、全力疾走しました」と微笑んだ。
ブリンソンは失態後、「監督から直接注意されたりはしていないけれど、間違いなく、言い訳できない自分のミス。自分の中で整理し、反省して繰り返さないようにしています」と首を垂れる。原監督は「あの時の私のコメントも(本人に)伝わっているはずですよ。大人は、言われる前に反省するものだから。言われてから反省するのはプロではないし、大人ではないですよ」とうなずいた。
巨人にとってブリンソンの守備範囲の広さ、走力、一発を秘めた打撃は、間違いなく貴重な戦力である。“史上最悪の確信歩き”が本人に新たな自覚を促し、怪我の功名となれば何よりだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)