覚醒気配の21歳が見つめるMLB 苦しんだ春先に見つけた光…「力負けしない」スイング
オリックス・紅林の理想はカブレラ、マチャド、トラウト
描いた軌道に近づきつつある。オリックスの紅林弘太郎内野手は“密かに”メジャーリーガーのスイングを確認している。高卒4年目の21歳。新人の頃は「タイガースのミゲル・カブレラ選手や(パドレスの)マニー・マチャド選手の映像をよく見ていましたね」と丁寧に答える。
紅林が目を丸くしたのは「高め直球」の打ち方だった。「スイングが強いですよね。どんなボールが来ても力負けしない。対応力があるというか……。パワーで持っていっている感じもしますけどね(笑)」。はにかみながら話す21歳のスイングも、力強くなってきた。
今季は16日終了時点で87試合に出場して、打率.280、7本塁打、28打点の成績を残している。だが、振り返れば開幕は2軍スタート。開幕スタメンは野口智哉内野手に奪われる形になったどころか、ベンチメンバーにさえ名を連ねることはなかった。
コンディションを上げることができず「自分が悪いのは理解していました。だから、一生懸命バットを振るしかなかったです」。2軍の練習試合でショートを守っていた時、ふと思った。「1軍にいさせてもらった経験が長かったので、ここに居てはダメだなと。もっと本気で頑張らないといけないなと感じました」。紅林は2021年に136試合、2022年に130試合に出場し、連覇&日本一に大きく貢献。3連覇を狙う今季は中軸を担うはずだった。
8月も後半に差し掛かり、シーズンは100試合を超えた。苦境を乗り越えた紅林は、安定した成績を残し「ショート」を守っている。メジャーリーガーの話題を振ると「今年、1人(名前を)挙げるとしたら(エンゼルスの)マイク・トラウト選手ですね」と、にこやかに笑う。豪快な打球を放つスタイルこそ変わらないが、参考とするプレーヤーは“転換”していく。