“左に強い”左打者…急成長のドラ1リードオフ 国民的大ヒット曲で登場する理由

楽天戦の2回に適時打を放った西武・蛭間拓哉【写真:矢口亨】
楽天戦の2回に適時打を放った西武・蛭間拓哉【写真:矢口亨】

セオリーとは逆…圧倒的な対左投手打率.361

■西武 4ー1 楽天(16日・ベルーナドーム)

 西武のドラフト1位ルーキー・蛭間拓哉外野手が本領を発揮し始めた。16日に本拠地ベルーナドームで行われた楽天戦で、4打数2安打1打点。この日まで8試合連続「1番・右翼」でスタメン起用されている。左打者だが、対右投手の打率が.170にとどまっている一方、左投手には.361(36打数13安打)と圧倒的に強い。

 この日の相手先発も、左腕の辛島航投手だった。2回、9番・長谷川信哉内野手の適時打で先制した直後、2死一、二塁で第2打席に立ち、初球の内角高めの速球を迷わず振り抜いた。少し詰まったが、打球はセンター前に落ち、二塁走者の古賀悠斗捕手が2点目のホームを踏んだ。

 全力プレーと明るい性格が魅力だ。4回の第3打席では、辛島の外角低めのカーブを打ち損ない、ボテボテのゴロとなったが、三塁手の伊藤裕季也内野手の送球がワンバウンドとなる間に、一塁を駆け抜けた。「セーフ」の判定に対し、楽天側がリクエストするも、リプレー検証の結果は変わらず。その瞬間、蛭間は満面に笑みをたたえながら左拳を突き上げた。

 松井稼頭央監督は「初球から積極的に振っているし、振っていく中で(投球に)合わせていっている」と評し、「いい1番の姿を見せてくれている」と目を細めた。チームの長年の懸案である「1番」のスポットに、自分の居場所を切り開こうとしている。

 オープン戦の不振で、開幕は2軍スタートとなり、6月23日にようやく1軍昇格を果たした。セオリーとは逆に、今のところ左腕に圧倒的に強い。蛭間自身は「大学時代には、そんな傾向はありませんでした。しっかり踏み込んで、投球の軌道のイメージを描いて打てるようになってきたからかなと思います」と分析し、「右も打てるように、今日から練習します」と大粒の汗を拭いながら言葉に力を込めた。

早大時代の師匠の娘が郷ひろみさんの妻

 登場曲に使用しているのは、「ジャパーン!」と連呼する部分が印象的な、郷ひろみさんの『2億4千万の瞳』。ノリがよく、ファンの声援を増幅させる。蛭間が生まれる前にヒットした曲だが、早大時代に師事していた徳武定祐コーチ(当時)の娘・利奈さんが郷さんの妻という縁で面識があり、コンサートを訪れたこともあった。

 その郷さんは今年4月18日、東京ドームで行われたソフトバンク戦に招かれ、セレモニアルピッチ、国歌斉唱、さらには試合終了後のスペシャルライブまで行ったが、蛭間は2軍調整中だった。「電話でごあいさつだけ、させていただきました」。その後、日に日に存在感を増している蛭間。次回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍“ジャパーン!”に名を連ねるくらい、成長してほしい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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