「みんな疲れきっちゃって…」中学野球で延長11回の激闘 懸念される真夏の過密日程

中本牧シニア・小林鉄三郎【写真:内田勝治】
中本牧シニア・小林鉄三郎【写真:内田勝治】

ジャイアンツ準々決勝で延長11回、2時間19分に及ぶ激闘

 延長11回決着。指導歴46年の中本牧シニア・村上林吉監督をして「初めてじゃないか」と言わしめるほどの激闘だった。18日に行われた、中学硬式野球の日本一を決める「第17回全日本中学野球選手権大会 ジャイアンツカップ」準々決勝で、中本牧シニア(神奈川)は富山シニアと対戦。試合は延長10回まで0-0で進み、延長11回から1死満塁のタイブレークに突入。中本牧シニアが3-0で競り勝った。

 息詰まる投手戦は、意外な結末で幕を閉じた。延長11回1死満塁、2番・田中歩稀の場面で、相手バッテリーがワイルドピッチ。待望の先制点を挙げると、2死満塁から4番・黄泰崇(こう・たいしゅう)が2点二塁打。2時間19分に及ぶ激闘にケリをつけた。

 タイブレークの大会規定として「延長10回あるいは試合開始から2時間を越えて(いずれか早い方)、両チームの得点が等しい時、以降の回の攻撃は、1アウト満塁の状態から行うものとする」とある。中本牧シニアは、8月上旬に行われたリトルシニア日本選手権大会でも5連戦を戦い抜き準優勝。ジャイアンツカップもこの日まで3連戦と、連日の猛暑も相まって、選手たちの疲労はピークの達していた。

中本牧シニア・村上林吉監督【写真:内田勝治】
中本牧シニア・村上林吉監督【写真:内田勝治】

 村上監督も「みんな疲れ切っちゃって、ストライクとボールの見極めが利かない。低いボールを打ったり、高いボールを打ったり……。ワイルドピッチで先制点が入って気持ちが楽になったんじゃないかな」。先発で6回無失点の2年生左腕・小林鉄三郎の後をうけ、7回から登板した同じ2年生左腕の鈴木陽仁は、17日の松本シニア戦に続く連投。「まさか5イニングも投げるとは思っていなかったです」と振り返った。

 こうなると気持ちの問題。村上監督は延長11回、マウンドへ向かう鈴木に「ストレートが切れて速くなったな」と暗示をかけた。これに気をよくした鈴木は1死満塁から投ゴロ併殺打に打ち取り、ゲームセット。2年生左腕コンビの活躍もあり、これで初戦から25イニング連続無失点と、投手陣の奮闘がチームを支えた。

 台風による1日順延の影響もあり、19日の準決勝で4連戦。村上監督は「疲れがたまってバットが振れない。(対策は)早く寝ること、気持ちで戦え、この2点!」と気勢を上げていた。中学硬式野球は8月だけで全国大会、ジャイアンツカップ、そして各団体の全国大会優勝チームが出場するエイジェックカップ中学硬式グランドチャンピオンシリーズが控える。勝つほどに試合が増えるのは喜ばしいことだが、過密日程の対策も今後は考える必要がある。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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