延長戦で明暗分けた両指揮官の策 余裕を感じさせる阪神、打つ手がなかった中日
阪神は延長10回に2死満塁から大山が左前適時打を放ちサヨナラ勝ち
■阪神 4ー3 中日(22日・京セラドーム)
阪神は22日、京セラドームで行われた中日戦を延長10回、4-3でサヨナラ勝ち。4番・大山が劇的なサヨナラ打を放ち優勝マジックを「25」に減らした。総力戦で勝利を手にした岡田監督は「ブルペンを含めて野手も、もう残ってなかったけどみんなの力じゃないですか」と、今季8度目のサヨナラ勝利を称えていた。
延長戦にもつれ込み、両軍総力戦となったゲームだったが両指揮官の選手起用が明暗を分けた。先手を打ったのは中日・立浪監督だった。
1点を追う中日は6回。1死一、三塁から木下の遊ゴロ失策で同点に追いつくと川越、後藤、加藤翔と3連続代打で一気に勝負に出た。後藤が右前適時打を放ち勝ち越しに成功したが、二遊間に代打をつぎ込んだため7回から遊撃に石垣、二塁に溝脇を起用。この時点でベンチの内野手は不在となった。
結果的に延長10回2死満塁の好機では左腕・島本に対し溝脇が三ゴロに倒れ無得点。ベンチには捕手の石橋、外野手の三好しか残っておらず策を投じることはできなかった。
ビジターチームは同点なら9回、延長戦なら勝ち越してから守護神を投入するのがセオリーともいえる。だが、21日に勝野が登録を抹消されブルペンは厳しい状況。9回は藤嶋が踏ん張り無失点に抑えたが、延長10回は田島が2死から安打と2四球で満塁とし大山にサヨナラ打を浴びた。
中日は守護神マルティネスの“温存”が裏目
守護神のマルティネスは16日・巨人戦を最後に登板機会がなく休養は十分。週頭とはいえ今カードは2試合のみで最長でも2連投で済む。結果論になるがマルティネスを“温存”させたことで阪神に勝機は傾いた。
岡田監督は同点に追いついた7回の場面を振り返り、代打の糸原に代打の代打・ミエセスを起用した理由を「まぁ、同点に追いついたらマルティネスは来ないからね。だから、やっぱりあの回くらいでいってほしかった」と語った。まずは同点に追いつくこと。一気に追い越さなくても、相手の切り札が出てこないことは把握している。余裕を持ちつつ延長戦に備えることができた。
「もう1試合みんなで頑張れば、また1日空くから。明日もそういう形でやっていきたい」
充実したリリーフ陣を誇り、野手陣も揃う阪神と、怪我人続出の中日では選手層に違いはあるが“総力戦”を制したのは岡田阪神だった。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)