7月の月間MVP、楽天主砲は何が変わった? 不調の序盤と比較…データで紐解く劇的変化
楽天・浅村は6月まで外角球に苦しむも、7月に大きく改善
楽天・浅村栄斗内野手はここまで本塁打、打点ともにリーグ上位の成績を残している。シーズン序盤は不調に苦しんだものの、7月に入ると本来の打棒が復活。月間打率.395、9本塁打、24打点と3部門でリーグトップの数字を残し、自身3年ぶり5度目となる大樹生命月間MVP賞を受賞した。今回は浅村がいかにして好成績を残したのか、その要因に迫っていきたい。(数字はすべて8月22日終了時点)
昨季は内角の打率.297に対し、外角は.181と苦しんだ。今季も6月までは外角球をあまりヒットにできず、特に外角低めは打率.136と大きな弱点になっていた。しかし7月は改善が見られ、外角のすべての高さで打率3割以上をマーク。外角低めを3本塁打するするなど、幅広いゾーンの球をはじき返した。
もともと浅村は広角に長打を放つバッティングが特徴。楽天に移籍した2019年以降は、ライト方向への長打の割合が3年連続で40%を超えていた。しかし昨季からは引っ張り傾向が強まり、今季は放った長打の半数以上がレフト方向の当たりとなっている。こういった変化により、外角球に対しては引っかけた凡打になるケースが増え、思うような成績を残せていないと考えられる。
右方向の長打割合は今季全体で見ると30%を下回っているものの、月別では7月から増加。7月9日にソフトバンク・石川柊太投手から放った一発を皮切りに、6月までは見られなかった右方向へのホームランも出始めた。浅村自身も「7月頃から球を追いかけるのをやめた」「コースに逆らわない打撃を意識した」と語っており、逆方向にも打ち分ける持ち味を取り戻したことが好成績につながったようだ。
最後はこれからの戦いについて考えてみたい。長打以外も含めた全打球の方向を月別に見ると、8月は7月に比べて右方向への打球が減っているものの、増加しているのは左へ引っ張る打球ではなくセンター方向への打球だった。センター中心の6月から広角打法で活躍した7月という流れをこの8月から秋にかけても再現できるかどうかが、シーズン終盤の復調に向けたカギとなりそうだ。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
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