V争いは阪神有利も「もしかしたら」 負ければ脱落も…土壇場で広島救った「勇気ある空振り」

広島・新井貴浩監督【写真:荒川祐史】
広島・新井貴浩監督【写真:荒川祐史】

広島は2点を追う8回に代打・末包が左翼5階席へ特大の逆転3ラン

 広島は29日の巨人戦(京セラドーム)に5-4で勝利し、自力優勝の可能性が復活した。2点を追う8回に代打・末包昇大が逆転3ランを放って劇的勝利。大仕事をやってのけた2年目の長距離砲に、野球評論家の坂口智隆氏は「勇気ある空振りが一発に繋がった」と賛辞を送った。

 奇跡の逆転Vに向け、劇的な一発が飛び出した。2点を追う8回2死一、二塁で打席には代打・末包。左腕・高梨がカウント2-1から投じた内角スライダーを強振すると、左翼5階席へ飛び込む特大の逆転3ランとなった。

 27日のヤクルト戦でも満塁弾を放っている末包の一発に坂口氏は「本来ならファウルになってもおかしくない打球。パワーはもちろんだが技術的にも素晴らしい一発。甘く入ったウイニングショットを仕留めたのは大きい」と称えた。

 試合終盤で欲しかった一発。代打で最高の結果を残せた理由はどこにあるのか。現役時代の終盤は代打としても活躍した坂口氏は「空振りした初球の入り方」と注目した。

広島・末包昇大【写真:小林靖】
広島・末包昇大【写真:小林靖】

代打は「受け身になっては厳しいポジション」

 末包の打席を振り返る。初球は内角低め、ボール気味のスライダーにバットは空を切った。その後は2球続けて外角のシュートがボールとなり、打者有利のカウント2-1からの4球目。今度は内角低めのスライダーを完璧に捉える逆転3ランとなった。

「代打は受け身になっては厳しいポジション。ボールの軌道を把握するにはバットを振っていかないと難しい。空振りになったが、初球から相手の決め球を勇気を持って振れた。このスイングがあったからこそ次の準備が生まれる。これは長年経験している打者でも難しい。求められる結果を残した末包選手の思い切りのよさは本当に素晴らしい」

 試合の流れは完全な巨人ペース。6回に逆転され、7回に追加点を許す展開だった。それでも終盤にしぶとさを見せるのが今の広島だ。前カードのヤクルト戦でも1点差で勝ち切きる勝負強さで2勝1分けとした。

 自力優勝の可能性が復活したとはいえ、首位・阪神とのゲーム差は「6」。追いかける展開に変わりない。「もちろん有利なのは阪神で間違いない。ですが、『もしかしたら』と思わせる試合になったかもしれない」と坂口氏は語る。

 独走態勢の岡田・阪神に詰め寄ることができるのか。広島がシーズン終盤のV争いを面白くさせるかもしれない。

【実際の映像】投手の決め球を一閃…5階席への特大弾! バッテリーは愕然…土壇場で飛び出した劇的3ラン

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