エ軍解体でも「選択肢はなかった」 衝撃から一夜…響いた歓声 “残留組”が漏らす本音
決勝2ランを放ったドルーリー「間違いなくタフだった」
■エンゼルス 10ー8 フィリーズ(日本時間31日・フィラデルフィア)
試合終了後、クラブハウスから楽しそうな声が漏れていた。大谷翔平投手の所属するエンゼルスは30日(日本時間31日)、敵地でのフィリーズ戦に10-8で勝利し、連敗を3で止めた。主力6選手がウェーバーにかけられたと米メディアが報じてから一夜。試合を決める一発を放ったブランドン・ドルーリー内野手は「間違いなくタフだった。しばらくの間いい野球ができていなかったからね」と苦しい心の内を明かした。
8月最終戦を勝利で飾った。1点リードの8回2死一塁でハーパーに逆転2ランを許し、嫌な流れが漂ったが、9回に意地を見せた。無死一、三塁でルイス・レンヒーフォ内野手の犠飛で同点に追いつき、さらに2死一塁からドルーリーが右中間へ勝ち越し2ラン。守護神キンブレルを攻略し、シーソーゲームを制した。
29日(同30日)には、ルーカス・ジオリト、マット・ムーア、レイナルド・ロペス、ドミニク・リオンの4投手とハンター・レンフローとランダル・グリチック両外野手の計6選手がウェーバーにかけられたとの報道がチームを駆け巡った。球団の決断にナインは動揺を隠せない中で迎えた試合は13安打12失点を喫し大敗。試合後は重苦しい雰囲気が漂っていた。
一夜明けた30日(同31日)の試合後、クラブハウス外の廊下でフィル・ネビン監督の取材を待つ記者たちのもとまで楽しい声が聞こえてきた。翌31日(同9月1日)までに獲得球団が現れれば、自動的に他球団へ移籍することになるだけに、この日がチームメートとして最後になる選手もいるかもしれない。別れの挨拶をしていたのだろうか――。ロペスやリオンが笑顔で話す場面もあった。
ドルーリーは「タフだったけど、プレーし続ける以外選択肢はなかった。やり続けるだけだ」。噛み締めるように語ったが、「チームの勝利に貢献できたから、いい気分だ。いい気分だ」「いつだって試合に勝てば、ポジティブなことだ」。ポーカーフェイスの男が、少し微笑んだ。移籍1年目で経験した大失速。何とか周りを鼓舞しようと前向きな言葉を並べた。
エンゼルスは事実上、今季のプレーオフ進出を諦め、再建モードに入った。チームを去る選手にとっても、残る選手にとっても苦しいのは変わりはない。それでも、ドルーリーの言う通り、前を向いてプレーし続けるしかない。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)