ノーノーの屈辱から2週間「絶対に打ってやろう」 決め球打ち…源田が賭けた第1打席
西武は鷹・石川に前回対戦でノーノーを食らっていた「この前やられたからやりかえそう」
■西武 6ー0 ソフトバンク(1日・ベルーナドーム)
西武は1日、本拠地ベルーナドームで行われたソフトバンク戦に6-0で快勝。相手先発で、前回対戦の8月18日(PayPayドーム)でノーヒットノーランを食らっていた石川柊太投手から、4回までに6点を奪い攻略に成功した。キーマンとなったのは、「1番・遊撃」でスタメン出場した源田壮亮内野手だった。
前回完璧に抑えられた投手と対戦する時ほど、出だしが重要になる。源田は初回先頭の第1打席に賭けていた。「前回のこともあるので、特に1打席目は絶対打ってやろうと意識していました」と明かす。初球に外角低めのフォークを見送りストライクを取られた後、2球目に、真ん中高めに来た石川得意のパワーカーブを捉えた。中前への打球に中堅・上林誠知外野手がスライディングキャッチを試みたが、弾いてヒットとなり、源田は狙い通り出塁を果たした。
120キロ台のスピードが出るパワーカーブは石川の代名詞。源田は「石川投手と戦う時には、常に頭にある球種ではありますね」とうなずく。この試合で最初に投げたパワーカーブをヒットされ、石川のリズムが崩れたのか、西武はこの回2死満塁と攻めたて、外崎修汰内野手が先制2点中前打。佐藤龍世内野手も左前適時打で続き、幸先よく初回に3点を挙げた。
外崎の先制打は、カウント1-2と追い込まれながら、外角低めのカットボールを2球見送ってフルカウントに持ち込み、最後に3球連続となったカットボールがやや高めに浮いたところを中前へ打ち返したもの。外崎は「僕の場合は、パワーカーブを意識すると、今度は真っすぐを捉えきれなくなるので、そこは割り切っていくイメージ。ただ、あの場面は追い込まれていたので、何が来ても対応できるようにはしていました」と説明する。「試合前のミーティングでは『この前やられたから、やり返そう』という話が出ていました」と会心の笑顔を浮かべた。
妻の元乃木坂46・衛藤美彩さんとその妹分も来場
松井稼頭央監督は試合後「源田がいち早く打ってくれましたのでね。初回の3点が非常に大きかったですね」と振り返った。流れをつかんだ西武は2回にも、得点にはつながらなかったものの、無死一塁で源田が再びパワーカーブを右前打。そして4回2死一、三塁の好機に、栗山巧外野手が石川のカットボールを右翼ポール際に運び、この7号3ランで完全に試合の主導権を握った。結局、4回までに石川に9安打を浴びせて6点で奪い、リベンジを果たしたのだった。
源田は5回にも2番手の尾形崇斗投手から右中間二塁打。8回の第4打席では、相手4番手の左腕・田浦文丸投手から右前腕に死球を受け、代走を送られてベンチへ退いたが、試合後は「大丈夫でーす!」と笑顔を振りまいて帰途に就いた。4打数3安打1死球の活躍だった。
リーグ最下位から巻き返しを図る西武にとって、源田はこの試合のみならず、残りのシーズン全体を占う存在にもなりそうだ。最近7試合連続で1番で起用され、その間、打率.407(27打数11安打)の猛打を振るっている。松井監督は「本当に状態がいいですし、いい結果と内容で1番として塁に出てくれています」と称える。
特にこの日は、源田の妻で乃木坂46の元メンバーの衛藤美彩さんが観戦。衛藤さんの後輩で源田自身とも面識のある乃木坂46・向井葉月さんが始球式を務めた。そういう試合だっただけに源田は「よかったですね、はい」と照れ笑いを浮かべた。
公式戦開幕前のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、右手小指を骨折しながら強行出場を続け、侍ジャパン優勝に大きく貢献した源田。残り26試合となったシーズンも、ドラマチックに締めくくってほしい。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)