阪神、最速Vにリスクも 「334」の悲劇再現回避へ…日本一へ求められる“岡田のタクト”

阪神・岡田彰布監督【写真:荒川祐史】
阪神・岡田彰布監督【写真:荒川祐史】

2003年も2005年も日本シリーズで力を発揮できなかった阪神

 14日の巨人戦(甲子園)に勝利し、2005年以来18年ぶりのセ・リーグ優勝を決めた阪神。最後は怒涛の11連勝で、9月15日に決めた2003年を上回る「球団史上最速V」となった。次に狙うは1985年以来の日本一になるが、この「最速V」がネックとなることも否定できない。それは、ポストシーズンまでの間隔が空き、消化試合が増えることによる、勢いや試合感・勝負勘の喪失だ。実際に2003年も2005年も、阪神は優勝から日本シリーズまでの日数が開き、レギュラーシーズンで見せた力を存分に発揮できなかった。

 闘将・星野仙一監督の下で18年ぶりVに沸いた2003年は、王貞治監督率いるダイエー(現ソフトバンク)との日本シリーズ開幕が10月18日。中32日と1か月以上も開いた。

 井川慶と斉藤和巳の20勝投手同士の先発となった第1戦(福岡ドーム)をサヨナラで落とすと、第2戦は0-13の完敗。甲子園に戻って3連勝したものの、第6、7戦は連敗と敵地で勝てなかった。最後はルーキーの和田毅投手に完投勝利を許すなど、セ・リーグで猛威を振るった打線は最後まで勢いなし。ちなみに、ダイエーの優勝決定は9月30日と阪神よりも半月遅かった。

 2005年は9月29日のV決定から日本シリーズ開幕(10月22日)まで中22日。プレーオフ制度を導入していたパ・リーグは、レギュラーシーズン2位のロッテが1位・ソフトバンクとの激闘を直前(10月16日)まで演じて勝ち上がってきており、勢いにおいても勝負勘においても如実に差が出てしまった。

 第1戦(千葉マリン)から3戦連続で10失点と、「JFK」(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)の盤石のリリーフ陣で逃げ切る勝ちパターンに持ち込めず(第1戦は濃霧コールドという珍事も)。第4戦でようやく接戦を演じたものの2-3で敗れ、全く見せ場を作れずに惨敗した。4試合のトータルスコア33-4に因む「334」の数字は、今も虎ファンのトラウマの象徴として残っている。

今年はCSファイナルステージまで中33日と2003年以上に間隔が空くことに

 この年は、パのチームが阪神対策を練る日数があった一方、相手チームがギリギリまで決まらなかった阪神にとってはスカウティングの意味でも不利が生じた。2007年からはセ・リーグにもプレーオフが導入され、両リーグ共通の「クライマックスシリーズ(CS)」が誕生。そうした条件の差も解消された。

 そして今年、CSファイナルステージ開幕は10月18日に予定されており、阪神はV決定から中33日と、2003年よりも期間が空くことになる。2003年はコーチ、2005年は指揮官として苦杯を味わっている岡田彰布監督は、果たして“一発勝負”までの期間をどのようにマネジメントして調整し、自身が現役選手の時以来、38年ぶりの日本一へと導いていくのだろうか。

(Full-Count編集部)

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